亀田興毅氏の目指す興行の姿とは「3150ファイトのファンをつくりたい」

亀田興毅氏(東スポWeb)

【取材の裏側 現場ノート】ボクシング元世界3階級制覇王者でボクシングジム「3150(サイコー)ファイトクラブ」会長の亀田興毅氏(34)の挑戦が本格始動する。新型コロナウイルス禍で延期を余儀なくされた、第1弾の主催興行「3150ファイトVol.1」(12月16日、大阪・メルパルク大阪)の開催を発表した。ABEMAで4回戦の試合からメインまで生中継するという画期的なものとなる。

このモデルを成功させボクシング人気の拡大や「女性ファンにもてるボクサーをつくりたい」という興毅氏は試合やボクサーの〝見せ方〟にもこだわり「より臨場感のある見せ方をしたい。戦っている時の汗の飛び方、当たり方。普通にカメラを回しているだけじゃ分からない生々しい映像を伝えたい。あとはゲスト、ラウンドガールをどうするかとかですね」と細部まで追求していく。

一方で興毅氏といえば現役時代は強烈なキャラで自身の名を全国に轟かせた。プロモーターとしての興毅流の選手の売り出し方やスター育成方法をどう考えているのかを問うと「周りがどうこう言っても結局は本人がやるかやらないかということもある。それに昔と違って今は自分で(SNSなどで)発信できるようになった。みんなそれぞれの個性があるし本人の努力が一番大事になってくると思う」。つまり選手の自主性が重要だという認識だ。

その上で、まずは枠組みの強化が優先事項という思いがある。「選手だけに依存しない興行として『3150ファイト』をブランディングしていきたい。例えば大相撲ってみんな相撲を見にいっているでしょう。その中で横綱の白鵬(現間垣親方)や照ノ富士がいる。でも横綱不在となっても大相撲はやるし、みんな見にいく。それと同じようにファンが『3150ファイト』を見にいこう、となるようにしたい。僕は『3150ファイト』のファンをつくるんですよ。それがここから、いよいよスタートを切ったんです」と目指す興行の姿を力説した。

確かによほどコアなファンでない限り、人気選手や何らかの王座戦に観戦動機の比重が置かれる。そんなボクシング界に風穴を開けられるのか。ようやく芽吹いた興毅氏の挑戦がどんな花を開かせるのかが今から楽しみだ。

(ボクシング担当・桂川智広)

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