レギュラー170円台 ガソリン価格高騰 企業、家計に影 離島、トラック業界深刻

県内のレギュラーガソリンの平均小売価格

 世界的な原油価格の高騰に伴い、ガソリン価格が長崎県でも上昇を続けている。今月に入り、レギュラーガソリンの平均小売価格が1リットル当たり170円台、ハイオクも同180円台に突入した。いずれも2014年10月以来7年ぶり。コロナ禍からの経済回復が期待される中、企業経営や家計に影を落としている。

 石油情報センターによると、県内のレギュラー1リットル当たりの平均小売価格(18日調査)は171円90銭、ハイオクは182円30銭。今年に入って約25円アップ。新型コロナ拡大で値下がりした昨年春と比べると、1年半で約36~37円上昇している。
 長崎市内のガソリンスタンド(GS)では今週に入り、レギュラー170円台の表示が見え始めた。長崎市尾上町の林兼石油ハーバー長崎SSは、LINE(ライン)登録による割引サービスをPR。顧客の負担軽減へ経営努力を重ねる。
 離島地区では、さらに深刻だ。県石油商業組合が公表している給油所石油製品市況調査(13日調査)によると、レギュラー179円20銭、ハイオク188円。全国平均より約17円高い。

レギュラー170円台、ハイオク180円台を示す電光表示板=長崎市尾上町、林兼石油ハーバー長崎SS

 離島への輸送コスト高を背景に、県全体の平均小売価格は全国平均を上回り、全国でワースト上位を争う。人口が少ない離島では都市部と比べ、GSでの石油製品販売量が少ないため、原油価格が上がれば、販売価格に上乗せされる。
 新上五島町有川郷の長南石油店は今週から1リットル当たり5円値上げし、レギュラー191円に。前月比10円以上値上げしたが、来月からさらに5円上げる予定。浦田晶路社長(60)は「島内の消費者にとって生活必需品なので、原油が上がれば販売価格が上がると納得してもらっている」と話す。
 トラック業界からは悲痛な声が上がる。長崎市で多くのトラックを持つ運送業者はコロナ禍による売り上げ減の上、燃料高騰が追い打ちをかけた“二重苦”。担当者は「燃料の上がり幅が月を追うごとに大きくなっている。燃料代が昨年より約1500万円増え、経営を圧迫。エコドライブなどの自助努力だけで到底、補える状況ではない」と苦しい胸の内を明かす。
 石油情報センターは「少なくとも来週も値上がりする」との見方を示す。県内へのまん延防止等重点措置や全国への緊急事態宣言が解除され、車を使った外出機会が増えるとみられる。冬場にかけて、灯油の需要も増加するだけに家計への影響は計り知れない。同市の女性会社員(39)は「車を使わないわけにもいかないので、ガソリン高騰は痛い。少しでも安い店を探しているが、灯油が必要な冬はもっと大変になりそう」と頭を抱える。


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