加賀まりこ、自閉症を抱えるパートナーの息子を重ね熱い想い!「手を差し伸べなくてもいい、微笑んであげて」

加賀まりこが主演を務める母と息子の物語『梅切らぬバカ』のトークイベントを都内で実施。試写後に加賀が登壇すると、まず「上映後に皆様の拍手が控室まで聞こえてきたのがとても嬉しかったです。ありがとうございます」と挨拶。54年ぶりの主演となった本作だが、周囲からの反響を聞かれると「“2分で泣ける!”って予告編がすごく反響があったみたいで、お友達からもたくさん連絡を頂きました。取材を受けさせて頂いている中でも、観た方の心に響いているなと感じることが多いので、この歳でそんな作品に出会えたのは女優をやっていて良かったなと思います」と作品に寄せられた反応を素直に喜んだ。 今回オファーを受けた時の気持ちを聞かれると「まず脚本を読んで、若い監督がこんな地味な作品を本当に撮りたいの?と驚きました」と答え、役柄については自身のパートナーの息子が自閉症を抱えていることから、「私は近くに自閉症を抱えた息子がおり、この親子の日常がそんなに違った日常ではなかったので、自分ならやれるかもしれないと思い引き受けました。淡々と描かれる日常の中で、母としていられればいいなと、割烹着の似合うお母さんをやりたいなと思いました」と振り返る。またパートナーの息子と過ごす中で経験したことを重ね、「息子とはたまに一緒に散歩したり、ごはんを食べに行ったりすることがあったのですが、急に大きな声を出したりすると、すれ違う方々の視線を冷たく感じる時がありました。だから、この映画を観て忠さん(忠男)を好きになってくれたらいいなと心の中で念じることが、私の役作りだったんです。忠さんのような人に出会ったらみんな微笑んでくださいねというのが願いです」と役に込めた熱い想いを語ると、会場からは大きな拍手が送られた。 印象に残ったシーンとして、加賀演じる珠子が息子・忠男に「ありがとう」と伝えるシーンをあげ、「私は障害のある子は個性だと思っています。そういう子と出会えば自分が変われたり、成長できたりすることってあると思うんです。“ありがとう”というのは、そんな気持ちも込められています。私自身もパートナーの息子と出会えて良かったなと思っています」と想いのこもったシーンを振り返った。

本作の取材で様々なインタビューを受けている加賀。その中でも大きな反響を呼んだ「週刊文春WOMAN」(9/21発売)の内容に話が及び、加賀の“人生って大変な時があっても、あとで絶対良いことがある。人生はプラマイゼロね”という言葉について触れられると、「そうね、人生の秤ってプラスにもマイナスにも動くけれど、私は結果チャラだと思ってるの。みんなそれぞれ人生の妨げになるものは抱えているのよ。それをどう受け入れていくのかよね。許容できる範囲で噛み砕いて生きていくってことじゃないかなと思うの」と自身の人生哲学を披露。MCからそのお考えはいつから?と質問が飛ぶと「人生最終的にチャラって思ったのは、麻雀をやっている時ね」と茶目っ気たっぷりに答え、会場からは拍手と笑いが起こった。 さらに同インタビューで答えていた“臆病にならずに、好奇心を持って自分からノックすることが大切よ”という言葉については「私は普段から世間体っていうのを物差しなんかしてどうするのって思っているから、そういったものや周りの目を気にして臆することって一番もったいないと思うの。“自分なんて…”って言葉は私の中には浮かんでこない。間違えてもいいから、ノックしないよりはした方がいいと思う」と昔から変わらない、型にはまらない生き方について話す。今のパートナーに対しても同じ姿勢だったようで、「15年ぶりくらいに彼と一緒に仕事して、若い時に比べて、なんて良い顔になったんだろうって思ったの。きっと息子さんのおかげね。その時彼は、仕事や息子のことがあって恋愛どころじゃなかったの。5年もかかったわ。でも、ノックし続けて良かったと思う。今、毎日穏やかに暮らしてますので」と照れながらも満面の笑みで現在の幸せを語った。 そして最後には「観終わって忠さんが好きと思ってくれたら一番嬉しいです。そして、街でそういった方を見かけたら手を差し伸べなくてもいいので、ぜひ微笑んであげてください。お願いします」とあたたかいメッセージを送った。

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