駐長崎中国総領事に着任 張大興氏(57)に聞く 友好関係 押し上げたい

張大興氏

 〈11代目の駐長崎中国総領事に着任した。来年は日中国交正常化50周年の節目を迎える。これまでの本県と中国の交流の歴史を振り返り、「ポストコロナ」の時代を見据え、どのように相互交流や協力関係を深めていくのか尋ねた〉

 -日本での勤務は初めて。日本や長崎の印象は?
 長崎県は豊かな自然に恵まれ、山や海も近くて景色が魅力的。気候も過ごしやすい。街並み、建物、食や民俗など多くの面で中国の要素が含まれている。特に、気候、地勢、景色(例えば稲佐山の夜景)などの面において私のふるさと重慶市と似ているところが多いので、「家に帰った」ように感じる。長崎のスポーツや文化活動などさまざまなイベントなどに参加し、伝統文化などを理解し、友情を育みたい。

 -来年は日中国交正常化50周年。また、本県と中国の関係をどう捉えるか。
 長崎県は古くから中国との交流の最前線。友好関係を推進する役割を果たしてきた。1972年の国交正常化の1年前、当時の久保勘一知事の呼び掛けによって県議会が(政府に対し)「日中国交回復と貿易促進に関する要望決議」を行い、翌年に国交正常化してすぐ、久保知事が率先して大規模な訪中団を派遣。いずれも日本の地方自治体としては初めてで評価している。来年は新たな50年の始まりでもある。節目を祝いたい。

 -長崎と中国の交流協力に対する新型コロナウイルス禍の影響とは。ポストコロナ時代をどう見るか。
 コロナ禍、人的往来は影響を受けたが、県や長崎市、各自治体や各界は、中国の地方や関連部署などとオンラインで盛んに交流活動を展開してきた。これは、次のステップの準備。今後、観光だけでなく、スポーツ、文化、メディアなど幅広い分野で素晴らしい発展ができると考える。

 -日中間の課題について。
 中日両国は「平和」「友好」「協力」などの方向性に沿い、紆余(うよ)曲折を経て発展してきた。一方で、複雑な問題もある。例えば、どのように正しく歴史を認識するか、海上紛争もある。お互いが協力パートナーであり、脅威とならないとする重要な政治コンセンサスを守り、異なる認識がある点をうまくコントロールし、友好的な協議によって解決していく必要がある。

 -総領事としての抱負を。
 長崎県と中国の友好関係の根幹は民間交流や実務協力にある。各界の友人と手を携え、意思疎通を強化しながら交流を促進し、これまで築いてきた友好関係を新たな段階に押し上げたい。それは両国の友好関係を発展させる大きなエネルギーになると考える。

 【略歴】ちょう・だいこう 中国・重慶市出身。西南師範学院外国語学部英語学科卒。1985年に中国外交部に入り、駐オランダ王国大使館参事官や安徽省安慶市副市長などを歴任し、9月28日、駐長崎総領事に就任した。多趣味で卓球などの球技、ジョギング、山登り、水泳、魚釣り、料理も楽しむ。

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