燕OBが明かすV戦士の素顔 山田は「守備うまい」、高橋奎二は「バブバブちゃん」

ヤクルト・山田哲人(左)と高橋奎二【写真:荒川祐史】

コンビ拒否されていた!? 「浪さん嫌だ、ビキさんの方が安心」

ヤクルトが26日に混戦を制し、セ・リーグの頂点に立った。日本ハムからトレード加入した14年から現役を引退する17年まで在籍し、前回優勝した15年のメンバーでもある今浪隆博氏が、古巣の仲間たちの素顔を明かしながらペナント奪回を祝福し、ポストシーズンに向けたエールを送った。

6年の月日が経ち、ラインナップも大きく変わった。その中で変わらない活躍を見せているのが山田哲人内野手だ。昨季は低迷したが、自ら立候補して主将に就任した今季、見事に復活。打撃や走塁が目立つが、今浪氏が注目するのが守備だ。「山田哲人の守備はめちゃくちゃうまい。守備範囲も広い。安打だなと思ったやつもアウトにして、取れるものもちゃんとアウトにする。守備は数字よりイメージが強いけど、同じフィールドでやっているプロ野球選手はみんな気付いている」と断言した。

現役時代は二遊間を組むことも多かった2人。しかし今浪氏が遊撃に入ると、山田からは「浪さん嫌だ、ビキさん(大引啓次氏)の方が安心」と言われ続けたという。弟キャラだった山田も29歳となり、今では内野陣を引っ張る存在に成長。「嫌がられていましたけど、あれだけの選手なのでむしろ“組んでくれてありがとうございました”ですね」と笑うと、昨オフ結んだ7年総額約40億円(金額は推定)の超大型契約には「それだけの価値がある選手。でも凄いな、40億円か……。俺ならまずアイアンセット買い替えるかな」とボヤいていた。

“代打の神様”として一振りに懸ける川端慎吾内野手には、当時から凄まじい集中力と闘争心を感じていたという。移籍してきた際、爽やかな容姿で“ツバメのプリンス”と呼ばれていた川端と接したときのことを「まさに戦士で、“プリンス”とのギャップに驚いた」と懐かしむ。故障もありフル出場は難しくても「卓越した技術と、1打席に全力を懸ける集中力。そこに全てを捧げるというのは慎吾に合っているのかも。常に相手の救援エースと当たる代打の1番手として、これだけの数字が残せるのは半端ではない」と活躍を称えた。

元ヤクルトの今浪隆博氏【写真:荒川祐史】

次世代エースの凄さ「一番は国民的アイドルとの結婚でしょう」

今浪氏にとって、特に思い入れの深い選手が高橋奎二投手だ。平安高の後輩にあたり、入団1年目から成長を見守ってきた。プロ6年目で次世代のエース候補となったが「能力が素晴らしいからまだまだ伸びる。フルシーズン投げられればもっと凄くなる」と求めるものは大きい。今年、何よりも驚いたのは年始に飛び込んできたビッグニュースだった。「奎二の凄さは投げっぷりの良さと、球の勢い。でもね、一番は国民的アイドルとの結婚でしょう」と“今浪節”で幸せなプライベートにもお祝いの言葉を送った。

高橋は今年1月に元AKB48の板野友美さんと結婚し、10月に第1子となる女児の誕生を報告した。母校の原田英彦監督から「バブバブちゃん」と呼ばれる“赤ちゃんキャラ”も、父となった。「バブバブちゃんがパパだから月日が経つのは早いわ」と感慨深げな今浪氏は「必ず結果はチェックしているし、応援している。明大の後輩の星選手、吉田大成選手もですが、これからの活躍が楽しみです」と期待を寄せた。

打撃が注目されがちなチームだが、今季はチーム防御率、失点数がいずれもリーグ3位と投手陣も奮闘。特に救援陣の踏ん張りが目立ち「後ろにいい投手が3、4人いるとチームとしての安心感が全然違う。投打がいい噛み合い方をしていて、この優勝は納得の結果」とうなずいた。

現在スポーツメンタルコーチとしてアスリートをサポートする傍ら、軟式野球チーム「ゴリラクリニックベースボール」で監督を務める今浪氏は、今秋の全国大会で4強入りを果たした。日本一には“2歩”届かなかったが、秋の楽しみは広がった。「ヤクルトの日本一を見たいですね。応援しています」。2015年には届かなかった頂点を目指して戦う後輩たちを、温かく見守っている。(Full-Count編集部)

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