燕Vの立役者・塩見泰隆は「弱さを認めた」 小川GMが明かすブレークの理由

ヤクルト・塩見泰隆【写真:荒川祐史】

プロ初安打に大喜び、直後の凡ミスに「怒られていた」

ヤクルトの塩見泰隆外野手がリードオフマンに成長した。138試合に出場して打率.281、14本塁打、21盗塁。5月から1番に定着すると、2年連続最下位からのリーグ優勝に貢献した。帝京大、ENEOSを経て2017年ドラフト4位で入団。即戦力と期待されながら芽が出なかった28歳の4年目のブレークの秘密を、小川淳司ゼネラルマネジャー(GM)が語った。

◇◇◇◇◇◇◇

塩見の場合は、精神的な部分が一番です。最も変わったところでしょう。元々持っているポテンシャルは高くて、足の速さもずば抜けているし、守備も凄かった。ただ試合で自分を出し切ることができずにいました。

1年目、プロ初安打が25打席目でした。いい当たりや野手の正面を突いているのが多くて、やっと出た安打はライト戦に詰まってポトリと落ちる二塁打。二塁塁上で大喜びして、次の廣岡の三ゴロで三塁へ進まなかったことがありました。だから、ベンチに帰ってきて宮本(慎也ヘッドコーチ)に怒られていた。ちょっとそういうところがある選手ですね。宇宙人とまではいかないですけれど……。

毎年、キャンプからオープン戦までは凄い成績を残し、期待されてシーズン入ったら“パッタリ”。今年はオープン戦がダメだったけど、自分自身でメンタルの先生というか、アドバイスをくれる人を付けたみたいです。ということは、自分の精神面の弱さを認めたということです。

ヤクルト・小川淳司ゼネラルマネジャー【写真:編集部】

1番打者として「やっていけるだけのものを兼ね備えている」

ポテンシャルの高い人が結果が出せずにプロ野球を去っていくことは多いです。でも、彼はそこに投資したというか、自覚したところでのスタートになりました。メンタル面の改善が大きかったと思います。本人が自覚を持って、取り組んだのが一番。あとは高津監督が試合で使ってくれたことが非常に大きいでしょう。

打率3割打っていてもバントを失敗して落ち込んで、尾を引いて打撃に影響が出てしまうこともありました。でも今年は、そういうときに声を掛けたら「もう大丈夫です」と言っていました。まだまだ、浮き沈みはありますが、落ちながらも上がっています。最初は否定していたけれど、今は否定せずにメンタルの弱い自分を受け入れている、この辺が彼の成長だと思います。

自分で落ち込むようなことをしなければ成績は出てきます。今後にそれをどう生かしていけるか。盗塁もできて、本塁打もあり、打率3割ほど打てて、守備範囲も広い。十分、1番打者としてやっていけるだけのものを兼ね備えています。年齢がいけばタフになると思いますが、彼の持っているものからしたら、全ての部門でそれなりの成績が期待できるし、やってくれると思います。ポテンシャルからすれば“トリプルスリー(3割30本30盗塁)”の可能性もある。本人がどこに目標設定を置くかが重要になると思います。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2