諫干請求異議訴訟 差し戻し審 和解への進行協議打ち切り 国、態度崩さず

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審で、前提条件なしの和解協議の場を設けることを提示していた福岡高裁(岩木宰裁判長)は27日、進行協議を打ち切り、12月1日を口頭弁論期日に指定した。同日に結審し、本年度内に判決が言い渡される見通し。国が「開門の余地を残した和解協議の席には着けない」との態度を崩さず、継続は困難と判断した。
 非公開の進行協議後、開門派の馬奈木昭雄団長が明らかにした。馬奈木団長は報道陣に「極めて不誠実。大変、残念に思う」と国の対応を批判した。
 同高裁は4月、「統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話し合いのほかに方法はない」として和解協議の場を設けることを書面で提示。その上で、その考えに基づく進行協議期日を6月2日から12月1日まで計6回設定し、10月27日が5回目だった。
 同高裁が示した和解協議は開門、非開門のいずれも前提としておらず、非開門での決着を主張する国は一貫してこれを拒否し、判決言い渡しを求めていた。27日の進行協議でも国はその態度を変えず、和解に向けた実質的な話し合いがなされないまま打ち切りが決まった。


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