なぜ貯まりにくい?共働きなのに貯金は7年で200万。見直しの鍵は保険や銀行口座

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、44歳、会社員の女性。共働きで、世帯年収は手取りで1,000万を超えていますが、貯金は結婚7年目で200万円ほど。なぜお金を貯めづらいのでしょうか?見直すべきポイントをチェック。家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

共働き夫婦です。収入はそこそこあると思っているのですが、お金が貯まりません。結婚して7年、父親からもらった500万円と合わせて、今の貯金額は700万円です。ということは、7年で200万円しか貯められていないということですよね。

保険を積み立てていますし、今後は投資をしたいとも思っていますが、手元にお金がないため、これから先、マイホームを買うことができるのかな、とか、教育費を貯められるかな、というような不安があります。

お金を貯めるのも、やりくり次第ということになるのでしょうが、どのように支出を見直していくとよいのかわかりません。

また、銀行口座がたくさんあり、それぞれにお金が入っています。目的があって作った口座だと思うのですが、管理が難しく、これもどうしたらいいのかなと思っています。

家計管理を全体的に、見直しできたらと思っています。

【相談者プロフィール】

・相談者/女性、44歳、会社員

夫/42歳、会社員

子ども/長女2歳・保育園、次女1歳・保育園

・ 手取り収入

相談者/月収21万8,000円、年間ボーナス 約140万円

夫/月収54万4,000円、ボーナスなし

・貯金/約700万円(内500万円は父から)

・毎月の支出の目安:74万2,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(家賃):14万6,000 円

・食費(外食含む):8万4,000 円

・水道光熱費(電気・水道):2万6,000 円

・通信費(スマホ2台・ネット回線):3万円

・生命保険料:8万2,000円

・日用品代:2万5,000円

・医療費:9,000円

・教育費(保育園代):7万6,000円

・交通費(通勤費含む):3万7,000円

・被服費:1万円

・交際費:1万5,000円

・娯楽費: 2万円

・こづかい:10万円

・その他(使途不明含む):8万2,000円


FP:収入は確かに多いようですが、各費目の支出も多い、大型の家計のようです。毎月の収入が多いと言っても、夫にはボーナスがありませんし、毎月の収支をしっかりコントロールしないと、お金は貯められないでしょう。

支出を把握し、カットできる部分を見つける

書き出した支出状況を見て、どう感じられたでしょうか。各費目、支出額が多いと思いませんか。必要で支出が多くなっているところもありますが、そうではないところもあるはずです。そういったところを吟味してみましょう。

例えば保育料。お子さん二人が3歳未満ですから、保育料がそのまま負担となるのは仕方がない支出です。対して、通信費が3万円。これは使い方から考えて、妥当な使用量でしょうか。今は大手キャリアのプランではなくとも、大手キャリアの格安プラン、格安事業者による格安スマホなど、選択肢がたくさんあります。ご夫婦のインターネット接続量、通話量などから、適切なプランを探すと、支出額を減らせる可能性が高いでしょう。

また、食費、水道光熱費、被服費、交際費、娯楽費といった変動費も、内容を見直してさほど必要ではないものを減らすとよいでしょう。さらに、生命保険を積み立てているということですが、そのお金の貯め方も、一度検討し直したほうがよいかもしれません。

保障は保険、貯蓄は貯蓄と分けて考える

毎月8万円を超える生命保険料を支払っていますが、そのほとんどが「貯蓄目的の保険」です。まず、今の状況でご家族の保障が足りているかどうか、検討しましょう。

お子さんがいるご家庭は、ご両親どちらかに万が一のことがあり収入がなくなっても、生活して、進学するためのお金が必要です。ご家族の誰かがご病気になった場合、医療費が支払える、または仕事を休んでも生活費に不安がない状況を作っておかねばなりません。全て貯金で賄えるというのならよいですが、そうでない場合、加入する健康保険の「傷病手当金」、年金保険の「遺族年金」でどの程度の保障が得られるかを確認のうえ、不足する保障を持つようにしましょう。

貯金には保険よりもリスクの少ない投資のほうが効率がいい

また、保険でお金を貯めることは、今の時代にはお勧めしません。確かに昔は貯蓄性の高い商品が存在していましたが、今の低金利時代では予定利率が低いため、保険でお金を増やすことが難しいということもありますし、インフレを目指している経済状況から、長期的にみてお金の価値が下がる可能性もあります。「積み立てる」という仕組みを利用するという考え方もありますが、同じ積み立てるのなら、リスクの少ない投資で積み立てていくほうが、効率の良い貯め方ができるでしょう。

保険部分と貯蓄部分は、切り分けて考えたほうが良いのです。貯蓄目的の保険の保障内容と同じ保障が、掛け捨ての保険で、より安い保険料で契約できることもよくあります。必要な保障を持ち、効率の良い貯蓄をするには、保障と貯蓄を切り離すほうがメリットがあります。

銀行口座は「使う・貯める・増やす」の役割で持つ

銀行口座がたくさんあるとのことですが、整理をするには「使う」「貯める」「増やす」の目的別に、必要な口座を整理し、不要な口座は解約してしまいましょう。

「使う」は生活に使う口座、「貯める」は「生活防衛資金」などをおいておく口座、「増やす」は将来に向けて投資をしてお金を増やすための口座で、証券口座を用意します。

支払いに使っている口座は基本的に「使う」口座でよいのですが、複数口座から引き落としなどしていると、支出の把握が難しくなるため、可能な限りある程度1~2口座のまとめる手続きをしてもよいでしょう。

お金を貯める口座は、目的別にあってもよいですが、これもたくさん細かく別れてあるとわかりにくいもの。ネット銀行にはひとつの口座を目的別に分けられるものがありますので、そういったものを活用して、目的別に貯めてもよいでしょう。

このように役割ごとに口座を分けておくと、お金の貯まり具合や全体を把握しやすくなります。その上で「増やす」口座で運用し、お金を増やしていけると、マイホームや老後資金も考えやすくなります。一度ご検討ください。

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