「人生の目標は日本一の投手コーチ」ホークス一筋・倉野コーチ退団のワケ

ソフトバンクの倉野信次ファーム投手統括コーチ

ソフトバンクの倉野信次ファーム投手統括コーチ(47)が28日、自ら球団に申し入れる形で今季限りでの退団を決めた理由を明かした。

現役時代からホークス一筋。指導者としては一~三軍の投手コーチを歴任し、投手育成のスペシャリストとして手腕を発揮してきた。エース・千賀を育成選手時代から指導して大きく成長させたことでも知られる。

仮に他球団への流出となれば大痛手となるが…。もっとも、今回の退団は向上心の強い倉野コーチ自身が大志を抱いての決断だった。

「もっとコーチとしてのスキルアップを図らないといけないというのがあった。今のままで良い分もあれば、もっと勉強しないといけない部分もある。成長するために勉強、経験をしないといけない。今47歳。人生を考えた時にバリバリできるのは20年もない。僕の中では一歩踏み出さないといけないなと思っていた」。

思い描いているのは一度球団の外に出ての〝投手コーチ修行〟だ。かつて毎年のようにウインターリーグにコーチとして派遣されており、プエルトリコで海外の野球を経験したことは「自分にとっての転機になった」とも話す。かねて海外への〝留学〟などを通じて自らをさらに磨きたいとの思いも持っており、そのことは球団も深く理解している。

「この話を決めたのは2、3日とかの話ではない。何年も前から考えていたことなので」。その上で「僕の人生の目標として、日本で一番のピッチングコーチと呼ばれるようになりたいという思いから来ていること。そのためにということなので」と強い決意を口にした。

もちろん、後ろ髪をひかれる思いがないわけではない。「選手のことを思うと寂しい気持ちもあり迷いもあった」。それでも今の自分ができることはやった自負もある。倉野コーチが指導すると球速がもれなくアップするとも言われた「魔改造」の〝メソッド〟は形として残っている。今年は三軍で高卒投手全員が、若田部コーチのもとでケガなく球速を上げた。

「ホークスが嫌いで出て行くわけではない。むしろ好きですから。大好き、ですからね。その思いはありながらも、自分のことを考えた時にステップアップしないといけないと思った」。

将来的には「魔改造」に磨きをかけて、最強の投手コーチとして戻ってくる可能性はありそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社