<金口木舌> 古代人に親近感

 男子ゴルフの松山英樹選手が24日、米ツアーZOZOチャンピオンシップで優勝した。その際主催者から贈られた優勝カップは、リング型だった。あまり見慣れないおしゃれな形に心が引かれた

▼おしゃれとは他者との差別化。そのような気持ちが古代人にもあったのだろうか。南城市玉城のサキタリ洞遺跡から、約2万3千年前の赤く着色された装飾品・貝製ビーズが見つかった

▼約2万2千年前の港川人は、小柄で身長約154センチだったという。身長から栄養状態を考えると、厳しい生活環境だったことがうかがえる。しかし今回の発見で食料を求め、さまよい歩く古代人のイメージが覆された

▼1万6千~1万3千年前の顔料の塊、クレヨンも見つかった。「このビーズどう?」「赤がよく似合ってるわ」―なんて会話をしていたのかと思うと、一気に古代人に親近感が湧く

▼サキタリ洞遺跡からは以前、世界最古の釣り針が見つかっている。高級食材の上海ガニの仲間モクズガニの爪や、オオウナギの骨も発見された。「意外とグルメな暮らしぶりだったのでは」と話題になった

▼サキタリ洞遺跡は、未調査の地層の部分がまだ多くあるとされる。パズルのピースを埋めるように、これまで知られていなかった先人の暮らしの一端が徐々に明らかになっていく。果たしてどのような古代人に出会えるだろうか。

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