衆院選 終盤情勢 長崎2区 引き締め、上積み懸命

右から松平浩一候補、加藤竜祥候補

 「新聞で『加藤、一歩リード』と書かれた。いい迷惑だ。油断した瞬間負ける」。島原市長、古川隆三郎の熱弁は予定時間を5分超えた。26日夜、島原文化会館であった長崎2区の自民新人、加藤竜祥(41)の個人演説会。新型コロナウイルス対策で定員を600人に半減しても立ち見が出るほど。加藤は「広範囲な選挙区。しかも短期決戦。頼りにするのは島原半島の方々」と支援を求めた。
 島原は父寛治から受け継いだ牙城。「よその選挙区ほど危なくない」。そんな楽観論すら陣営から聞こえる。念を入れ、高齢化した支持層にはこう呼び掛ける。長年の習慣で「加藤寛治」に投票しないよう、名字だけを書いて-と。
 とはいえ諫早市・西彼2町は浮動票が多く、「認知度は依然高くはない」(陣営幹部)。このため公示後は、つじ立ちや個人演説会は諫早以西を優先。諫早の自民県議は「軌道に乗りつつある。だが終盤にかけて、おごらず引き締めていく」という。
 25日朝、車が激しく行き交う諫早市の貝津交差点。「変えよう。」の文字が躍るのぼりを掲げ、立憲民主前職の松平浩一(47)はアピールに余念がなかった。
 6月から週1度立ち続けてきた“定点”の一つ。現政権のコロナ対策などを批判し、景気回復に向け「国民目線の政治」への転換を訴える。その姿にドライバーが大きく手を振り返し、通り掛かった初老の女性は「頑張って」と声を掛けた。
 情勢報道も踏まえ「劣勢」(陣営)との見方は変えていないが、松平は「当初に比べ反応は格段に良くなっている」と手応えを語る。終盤も選挙区内を満遍なく巡る。
 同日夜、島原復興アリーナでの総決起集会には約200人が集まった。連合長崎会長の高藤義弘は「島原半島で踏ん張れば勝機はある」と結集を呼び掛け、共闘する野党の関係者らと気勢を上げた。地元支援者は「加藤の世襲への批判が島原でも広がっている」。陣営は票の切り崩しと上積みに懸命だ。=敬称略=

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