タイトル狙うトヨタ、FP1最速の好発進「セットアップの改善に全力尽くす」と中嶋一貴/WEC第5戦

 10月28日、WEC世界耐久選手権第5戦バーレーン6時間レース最初のフリープラクティス(FP1)がバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われ、最高峰カテゴリーのハイパーカークラスでタイトル獲得を目指すTOYOTA GAZOO Racingは、8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組)が1分50秒571の最速タイムで全体トップに。また、僚友7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が0.401秒差で総合2番手となり、チームは初日の走行をワン・ツーで終えた。
 
 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は6時間の決勝レースで争われる今戦と、来週末に行われる第6戦バーレーン8時間レースにおいて、WEC新時代となるハイパーカーでの歴史的な初タイトル獲得に挑む。

 今年トヨタがシリーズに投入したハイパーカー、GR010ハイブリッドは開幕戦から前戦ル・マンまでの4戦とすべてのテストをヨーロッパ圏内で実施してきたことから、今大会は初めて欧州圏外で走行する機会となる。そのハイパーカーを走らせるチームは新時代のチャンピオン獲得へ向けて絶好のポジションにつけており、マニュファクチャラーズタイトルは、30日(土)に行われる決勝で3位以内のポジションでフィニッシュすれば確定する状況だ。

 そんななか迎えた28日(木)の走行初日は、現地15時30分から1時間半にわたってFP1が行われ、僅差でドライバー選手権を争うTGRの6名全員が走行をこなした。このセッションでは、7号車のコンウェイ/可夢偉/ロペス組を9ポイント差で追いかける8号車組のブエミが1分50秒571というタイムで初日トップに立ち、1分50秒972をマークした7号車が総合2番手につけている。

 ドライバーたちは、バーレーン“連戦”に向け、10月初旬からTGRヨーロッパのドライビングシミュレーターで準備を進めてきたが、ニューマシンで実際にコースを走るのは初めてとなるため、気温が31度に達する暑い1日となったこの日は練習走行序盤から着実に周回を重ねた。また、チームは空力およびメカニカルなセットアップ、タイヤ挙動のためのデータ収集や分析に追われた。

 予選日となる29日(金)に行われる2度の練習走行でも、引き続きセットアップの改善が進められる予定。路面コンディションの改善が期待される現地では2度の練習走行のあと、決勝のスタートグリッドを決定する公式予選が16時30分(日本時間22時30分)から実施される。
 
 WEC第5戦バーレーンの練習走行日を終えたTOYOTA GAZOO Racingドライバーたちのコメントは以下のとおりだ。

TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド

■7号車トヨタGR010ハイブリッド

●小林可夢偉

「我々のハイパーカー、GR010ハイブリッドでバーレーンを走れるのは最高です。これまでのところは順調ですが、タイヤに優しいセットアップにするための調整が必要です」

「路面コンディションは全チーム同じですが、昨年と比べると我々の車両は重くなっているので、その点でタイヤの使い方が違ってきます。まだ改良の余地はあるので、そのための作業を続けます」

●マイク・コンウェイ

「レースカーに戻れるのはうれしいものだ。とくに、ここバーレーンは僕にとって楽しめるコースだし、いつもレースをうまく行えてい」

「我々はこのレースへ向け、いつもどおりシミュレーターで準備をしてきており、そのリズムのままなのですべてが自然だ」

「路面のグリップが低く、そのため車両はいたるところでスライドするので操作は簡単ではないが、ドライビングテクニックの良い練習になり、今日のセッションは全部うまくいった」

●ホセ・マリア・ロペス

「僕にとってはル・マン以来のGR010ハイブリッドのドライブとなるので、とてもうれしいよ。現時点の状況、とくに路面コンディションについて語るには早すぎる」

「セッションはすべてが順調にいったが、幾つか、とくにタイヤマネージメントの面で改良点が見つかった。これからデータを分析し、何を改善すべきかまとめていく」

■8号車トヨタGR010ハイブリッド

●中嶋一貴

「車内がとても暑く、路面のグリップも非常に低かったため、なかなか大変なセッションで感触もあまり良くありませんでした」

「路面コンディションは間違いなく向上していくので、セットアップの改善に全力を尽くし、明日の練習走行と予選でどこまで良い感触に近づけられるかです」

●セバスチャン・ブエミ

「GR010ハイブリッドでここバーレーンを走るのは初めてなので、LMP1カーと比べると、若干合わせていく必要があった。何周か走り、GR010ハイブリッドの感触を掴めたことが良かった」

「コンディションは決して良くないが、それは全チーム同じだし、明日以降向上していくだろう。我々は今までどおり、練習走行1回目のデータを解析し、セットアップの改善につなげる必要がある」

●ブレンドン・ハートレー

「ル・マンのあと、長い休暇を経て久しぶりにレースカーをドライブできるのは本当に素晴らしいことだ」

「今日はとても暑く、タイヤのオーバーヒートと摩耗が大きな問題だった。決勝も厳しいレースになると思う。それ以外は予定どおりにテスト項目をこなすことができ、順調なセッションだった」

「GR010ハイブリッドはここではかなり難しく、この週末、ドライバーはタイヤの限界を超えないようにするため、我慢の戦いを強いられそうだ」

FP1で最速タイムを記録した、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタGR010ハイブリッド
7号車トヨタGR010ハイブリッドをシェアする小林可夢偉(左)とホセ-マリア・ロペス(右)

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