真鶴町長、町議2人に選挙人名簿提供 住民基本台帳も持ち出し 11月4日に辞職へ 

松本一彦町長(中央)から名簿のコピーを受け取ったことを認めた町議会の岩本克美議長(右)と青木健町議(左)

 真鶴町の松本一彦町長が選挙人名簿抄本を不正にコピーし、町長選で利用などしていた問題を巡り、松本町長は29日の町議会全員協議会で名簿コピーを岩本克美議長と元町長の青木健町議にも提供していたことを明らかにした。さらに住民基本台帳の情報約700人分も持ち出され、岩本議長ら9月の町議選の候補者3人に提供されていたことも判明。松本町長は11月4日に辞職する意向を示した。

 松本町長は今月26日の会見で「(町議選候補)1人にしか名簿を渡していない」と説明していたが、この日は両氏への提供を明らかにし、「議長と元町長なので話が大きくなり、迷惑がかかると思った」と弁明した。岩本氏は「道義的責任を感じる」として議長職を辞任する考えを示した。一方、議員辞職については岩本氏、青木氏ともに否定した。

 町などによると、不正に取得された住基台帳の情報は、県知事選のあった2019年4月から21年7月までの死亡者と転出者の一覧など計720人分と、選挙権を失うなどした職権消除者3人分。町長の指示で町選挙管理委員会書記長が今年7月、勤務時間中に職場の端末から台帳を印刷。町長が自宅に保管していた19年の知事選の選挙人名簿コピーとともに書記長が、町議選に立候補する予定だった岩本氏ら3人の自宅に届けたという。

 台帳の持ち出しは個人情報保護法と住民基本台帳法に抵触し、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

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