巨人・中田翔 CS爆発の予兆か 古巣・日本ハムからの心配を一掃する「自主行動」

元木ヘッド(左)からの指導を受けた巨人・中田(東スポWeb)

復活の兆しとできるか。巨人・中田翔内野手(32)が29日に、ジャイアンツ球場で行われた一軍の全体練習終了後、志願の居残り特打を行った。シーズン途中に巨人に移籍した中田は34試合に出場し打率1割5分4厘、3本塁打、7打点と低迷。移籍前の日本ハムでも打率は1割台と、自己ワーストの結果に終わった。そんな中での「特訓志願」は、CSでの復活に向けた中田の大きな変化であるとの見方も…。そのワケとは――。

「これ以上チームの足を引っ張りたくない」。抱いていた焦りが、いつも以上に中田にバットを振らせた。全体練習も終了し、すべての野手がグラウンドを去った後のこと。中田は元木ヘッドコーチや阿部作戦コーチら一軍首脳陣が総出で見守る中、ただ一人居残り特打を開始。時折コーチ陣にアドバイスを受けながら黙々とフリー打撃を行い、終わってみれば、そこまでの打撃練習メニューも含めて1時間半以上バットを振り続けた。

すべては自ら志願してのものだった。中田は「元木さんだったり、阿部さんだったり、いろいろなアドバイスをもらった上で、試してしっかり打ちたいなと今日思ったので、わがまま言って打たせてもらいました」と経緯を説明。今季中に感じていたスイング軌道などの感覚のズレを、指導を受けながら修正を図ったという。

この日の中田の自発的な行動こそ〝北の大砲〟復活への大きな一歩となるかもしれない。今季途中に日本ハムから巨人へ移籍した際、古巣側からはこんな不安な声も寄せられていた。

「チームでは30代前半でありながら実質的な最年長野手。10年以上も一つのコミュニティーの中で育ってきて、実質〝お山の大将〟のようになっていた部分はどうしてもあった。それでも性格的には繊細な部分を持ち合わせているし、新しい環境で自分からコミュニケーションを取りに行けるか心配なところはあります」(日本ハム関係者)

実際、ここまでは長嶋終身名誉監督や原監督、当時二軍監督だった阿部コーチらからたびたびあの手この手で指導を受けていたものの、それはすべて「受動的」なもの。首脳陣側からの計らいだった。

それがこの日は自らの殻を破る形で、志願の居残り練習。古巣から寄せられていた不安を払しょくする格好となった。

「結果はもちろんそうですし、結果以外でも、打席の中でも、自分らしさであったり、自分なりの振る舞いだったり、そういうものも今年は正直全然できていない。自分らしく早く戻れるようにね。一生懸命やるだけです」と、穏やかな口調ながらも、確かな闘志を燃やしていた中田。悩める大砲が生まれ変われる時は近いのかもしれない。

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