意外と知らないF1メカニックの仕事。アストンマーティンがYouTubeにアップした動画にはふたりのメカニックが登場し、彼らの週末の業務内容を解説している。
自らの仕事を紹介してくれるのはダニー・デイビーとアンディ・ラッシュのふたり。それぞれセバスチャン・ベッテルとランス・ストロールのマシンのリアウイングと油圧部品を担当するメカニックだ。
木曜日の朝、ふたりの仕事はリヤウイングの組み立てから始まる。DRS用の油圧システムを備えたリヤウイングの構造は見ため以上に複雑だが、彼らはセッティング違いのウイングを最低でも6つ、おおよそ30分で組み上げてしまうという。
その作業が終わると、次はサスペンションのセッティングにピットストップの練習。休みなく働く彼らだが、ギヤボックスやサスペンションを組み立てる水曜日に比べればまだマシとのこと。
走行が始まる金曜日は、デイビー曰く「その週末にすべきことが決まる非常に重要な日」。緊張感漂う走行直前のピットでは、マシンの前に立つナンバー1メカニックの指示に従って各自が正確に作業をこなし、マシンをコースに送り出していく。
フリー走行1回目の終了後にラッシュが見せてくれたのはウイングがレギュレーションに合致しているかを調べる測定器具。直径85mmの器具がDRSをオープンにした状態のウイングの間を通ってしまえば、レギュレーション違反ということになる。もしマシンが車検で失格になるとドライバーの努力は水泡に帰す。メカニックたちにのしかかる責任は重い。
この日のスケジュールがすべて終わった後も、メカニックたちにはすべきことがある。ラッシュがサスペンションの部品交換とエア抜き作業を終えたのは21時30分。もしマシンにクラッシュなどがあれば彼がホテルに戻る時間はもっと遅くなっただろう。
パルクフェルメルールによってマシンに変更を加えることができなくなる予選開始後は、ピット作業が彼らの一番の仕事だ。一転して雨になった土曜日、ふたりは朝からコンディションに対応するためリヤウイングの交換を行うと、ピット練習に打ち込む。
「毎回まったく同じことをするようにしている」とピット作業の極意を語るのは右フロントタイヤを取り外す担当のラッシュ。ときに2秒を切るF1のピットストップはこうした地道な反復練習によって成し遂げられる。
決勝当日、無事に大役を果たしレースを終えた彼らだが、その後の撤収作業も彼らの仕事。これが完了して初めてメカニックたちは多忙な週末を終えることになる。