トヨタ、バーレーンでのチームオーダー方針と平川亮の将来的な起用可能性についてチームディレクターが言及

 WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに新型ル・マン・ハイパーカー、GR010ハイブリッドで参戦しているトヨタGAZOO Racingのチームディレクター、ロブ・ロイペンによれば、バーレーンで開催される2021年シーズン第5戦と第6戦において、僅差でタイトルを争うトヨタの2台の間におけるチームオーダーに関する手順は変更されていないという。

 以前は最終ピットストップ後はポジションを争わないことをチーム内の決まりとしていたトヨタは現在、後ろのクルマが前のクルマより速いかどうかに応じて、最終スティントでのポジション変更を行っている。2台のマシンのペースは、トラフィックのいないセクターによって判断されるという。

 この手順が表面化したのが第2戦ポルティマオ8時間レースの終盤で、FCY解除後の25分間でトヨタは2回のポジション入れ替えを行い、8号車が優勝を手にしていた。

「1台のマシンが速く、もう1台が遅い場合、2台の車をうまくやりくりするために、お互いが邪魔になっていないかどうかについてのオーダーがある」とロイペンはSportscar365に対し語っている。

「これは、ドライバーたちと合意済みの通常のプロセスの範疇だ」

「『どちらが勝つべきか』についてのチームオーダーはない。彼らは、彼らの間(のスピード差)でそれを作るべきだ」

「参戦する他のメーカーやブランドよりもトヨタのクルマを優先させたいので、適切なレースマネジメントは必要だ。そのような観点から我々(首脳陣)はオーダーを試みる。しかし、それを実行するのはドライバーたちだ」

「我々が望んでいないこと、それは最終ラップに2台がグラベルでレースを終えることだ。これは避けたい」

「だから『これこそが、我々がやりくりし続けたいものだ』と言うのだ。それが必要ない状況なら、OKだ。両車に対して同じ決めごとがあり、それを適用する」

「彼らがポジションを争っており、そこに大きな(ラップタイムの)違いがない場合、両車のレースエンジニアと、チーフ・レースエンジニアによって判断される」

「(2台のポテンシャルに)違いはないだろうし、両車がベストを尽くしてチャンピオンシップのために戦うことを願っている」

 8号車GR010ハイブリッドをドライブするブレンドン・ハートレーは、次のように付け加えている。

「どちらのクルマが速いのかを、彼らがどうやって判断するかは非常に複雑だと思う」

「僕らはまだお互いに競い合っているが、接触を避けるために常にホイール・トゥ・ホイールでバトルするとは限らない。僕らは皆、チームのガイドラインを把握しており、それに従ってレースをする」

■トヨタの来季ドライバーラインアップは維持か。平川亮の起用は?

 現在、トヨタGAZOO Racingのテスト&リザーブドライバーを務めているニック・デ・フリースは来年、その座を平川亮に取って変わられる可能性があるが、第5戦を前にロイペンはその種の詳細について確認することを拒否し、「多くの可能性がある」と述べている。

「待って成り行きを見てみよう」とロイペンはSportscar365に対し語った。

 ABBフォーミュラEワールドチャンピオンのデ・フリースは、将来のテスト機会について「モニター(監視・観察)したい」とロイペンが述べている平川とともに、9月のバルセロナテストに参加していた。

「将来に向けて、充分に発達したレースドライバーが欲しい。リョウもそのうちのひとりかもしれない」

 来季のトヨタに関して、レースドライバーのラインアップ変更や、ル・マンにおける3台目投入の可能性は、いずれも低いと見られる。

2021年6月、ポルトガル・ポルティマオでトヨタGR010ハイブリッドのテストに参加した平川亮

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