高い知識に”ワイン通”が集う店 佐世保で唯一のプロ資格取得 古瀬さん

「情報共有できる場所を提供し続けたい」と話す古瀬さん=佐世保市山県町

 長崎県佐世保市にワイン通が集まる場所がある。山県町のワインショップ「ルナ・ディ・ルーチェ」。その中心にいる古瀬謙一郎店長(52)は市内で唯一、プロレベルの「ソムリエ」と「エキスパート」の資格を持つ。豊富な知識に引き寄せられた多くの人と情報を共有し、ワイン時間を楽しんでいる。
 ビル2階の店内には、フランスやオーストラリア、チリ、ルーマニアなどさまざまな国のワイン約千本が並ぶ。すべて古瀬さんがテイスティングした納得の1本。どれも店内のイートインスペースで飲むことができる。
 資格は日本ソムリエ協会が認定し、合格率はおおむね20~30%台。約800ページのテキストを読み込み、ワインの作り方や産地の特徴などあらゆることを暗記して1次試験に臨む。2次試験ではテイスティングし、口の中に広がる味と香りからブドウの品種や産地、収穫年を判断。幅広い知識とそれを応用して答えを導く力が求められる。古瀬さんは35歳の時に一般の人が対象のエキスパート、飲食店で一定以上働いた人が対象のソムリエは昨年取得した。
 もともとビール派だった。ワインに興味を持ったのは関東で会社員として働いていた30歳頃。ワインがテーマの漫画「神の雫」の影響でシャトーモンペラを飲んだのがきっかけ。だがそれ以降、好みの味に巡り合えない。「資格を取れば自分の好みの味が分かり、失敗しにくい」。旧知のバーのオーナーに後押しされ、本格的に勉強を始め、今も続く。
 古瀬さんが思うワインの面白さとは。「料理との組み合わせが良ければ、1+1が3以上になって口の中に広がる」。ワインを介して広がる出会いや千円台でおいしいワインを見つけるのも醍醐味(だいごみ)という。
 2017年に佐世保市に戻って以降、日本ソムリエ協会の「ワイン検定」講師としても本格的に活動。難易度が違う「ブロンズ」「シルバー」の2クラスを教えられるのは市内で1人だけで、ワイン好きの知的好奇心を満たしている。
 ワイン通が集えば知識を共有し合い会話が弾む。古瀬さんは「知識があるほど楽しめるのがワイン。情報交換しながらグラスを傾けられる場所を提供し続けたい」と話す。

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