ついにトヨタが電気自動車に動き出した! 最新モデル「bZ4X」から見えたトヨタの本気度とは

トヨタが1997年に初代プリウスを発売して以降、日本車での「エコカー」といえばハイブリッド車(HV)だった。その後各メーカーから電気自動車(EV)をはじめ、燃料電池車、プラグインハイブリッド車なども登場しているが、現在でも主流はHVである。日本車メーカーの中でも、当初トヨタは電動車の主軸にあくまでHVを据えており、開発コストがかかるEVには慎重な構えを見せていた。しかし、電動車のフルラインアップ化を進め、ハイブリッドをはじめPHEV、EV、FCVをそれぞれ複数用意する。今後は2025年までにEV15車種を追加、そのうち「bZシリーズ」は7車種が導入される予定だ。今回発表された「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」は「bZシリーズのセンターポジションを担わせたい」と担当者が期待を込めたトヨタのEV戦略の今後を占うモデルと言える。

トヨタ bZ4X プロトタイプ

電池の経年劣化の不安を解消! 10年後の容量維持率を90%に

ではbZ4Xがこだわったポイントを紹介していこう。まずEVの問題点の解消に力を入れていることだ。

すでに日産 初代リーフなど発売から11年を経過したモデルが出てきているが、中古車価格が暴落していることからもわかるように、EVは電池の経年劣化が課題となっている。

bZ4Xでは使用開始から10年後(または24万km使用後)の容量維持率を世界最高標準の90%とし、長期間使えるモデルとなっているのだ。

自動車の使用年数が長期化している今、頻繁に乗り換える人は少なくなっている。EVを選択肢に入れる上で長期使用が前提となっているのはありがたいことだ。

航続距離はFWDで500km前後! ライバル車並みだが必要十分だろう

EVというと気になるのが航続可能距離だろう。

bZ4XはFWDには最高出力150kWのフロントモーターが、4WDにはフロントとリヤに1基ずつ80kWのモーターが搭載される。

また、バッテリーの充電については普通充電と急速充電の2つの充電方式を用意。普通充電は最大6.6kWまで、急速充電は最大150kWまで対応しており、急速充電では30分間で約80%まで充電できる。一充電あたりの航続距離はFWDで500km前後、4WDで460km前後とそれほど長いというわけではないが、十分な値であろう。

さらにDC外部給電機能も備わっており、アウトドアや災害での非常時に供給できるシステムも用意している。

ほかにも、ルーフにはソーラーパネルを備え、1年間に1800km走行できるほどの電力を作ることもできる。

ソーラーパネルは1年間に1800km走行できるほどの電力を作れる

ヒト中心の考え方で移動や運転が楽しいモデルに仕上がっている

bZシリーズは「ヒト中心の考え方」に基づいて開発が進められている。環境問題の解決に向けたゼロエミッション車での貢献に加えて、移動やドライビングをより楽しくスムースにすることでユーザーにゼロを超えた(beyond ZERO)新たな価値を創出することを狙っている。

この点においては、スバルと共同開発したプラットフォーム「e-TNGA」が大きく影響している。

モーター駆動の特性を生かして素早い応答性とリニアな加速感、高精度な出力制御をこなし、運転を楽しめるものにするとともに、e-TNGAによって低重心、高剛性化を実現。足元の広さは前後ともミディアムセグメントSUVクラストップレベルを誇り、Dセグメントセダン並みの前後シート間距離1000mmを確保するなど広々とした室内空間を演出する。

広々とした室内空間

さらに、ファブリック張りで低い位置に設定されたインストルメントパネルで自宅にいるような落ち着き感を、大開口パノラマルーフによって開放感を高めており、乗員全員の快適な移動をサポートする。

EVのSUVサイズは今後ライバルが増えそうなカテゴリーだ

bZ4Xはトヨタにとって、満を持して提供できる市販EVとして提供されるモデルとなるだろう。

2022年央から世界各地で発売すると発表されている。ミドルサイズのSUVは世界中から人気を集めるモデルであり、ライバルも多い。トヨタの市販EVはSUV市場で戦っていけるのか、発売が待ち遠しい1台だ。

【筆者:MOTA編集部】

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