店やホテル、歯科医、お寺も 11月「紅茶」合同イベント開催へ 宇都宮市、年間消費量 全国で上位

「八溝ししまる」の紅茶煮(手前左)や「紅茶のゼリーサンド」(同右)など合同イベントの参加賞品

 11月1日は「紅茶の日」。ギョーザのイメージが強い宇都宮市だが、紅茶の1世帯当たりの年間消費量は全国上位で、「紅茶の街」でもある。紅茶で栃木を元気にしようという合同イベント「紅茶の香る栃木県」が、11月に開かれるのを前に、取り組みを取材した。

 21日夕方。オリオン通りにある紅茶専門店・ワイズティー(曲師町)で、「第1回栃木紅茶サミット」が開かれた。11月のイベントに参加する企業の商品発表会と交流を兼ねた初の試み。担当者らが、コラボ商品の開発に向けて意気投合する場面も見られた。

 合同イベントは、ワイズティーが昨年初めて企画。同社と取引がある企業が参加し、6種類の新商品やサービスを販売した。2年目の今年は21社に拡大。宇都宮市内や大田原市、日光市など県内企業を中心に、業種は飲食店や洋菓子店、果樹園、ホテル、歯科医院、寺など多岐にわたる。

 「昨年から参加企業が一気に増え、『あの業種が紅茶とコラボ?』と思うような企業も参加している。新型コロナウイルス禍の閉塞(へいそく)感の中、明るい話題になれば」とワイズティー代表の根本泰昌(ねもとやすまさ)さん(47)。紅茶の魅力の掘り起こしはもちろん、コロナ禍で業績が落ち込む企業を元気にしたいという思いもにじむ。

 市内のパン店「パンデパルク」は昨年に続き参加。期間中、紅茶のスコーンなどを販売する。本店(中今泉3丁目)の川俣昇(かわまたのぼる)店長(47)は「コロナに負けず、従業員がアイデアを出し合って、新商品開発に励んできた。イベントを通じて波に乗り、波もつくっていきたい」。

■持ち味生かして多彩 

 11月の合同イベントは、21社が紅茶を使った新商品やサービスなどを各店舗で展開する。その中身は、根本社長も「それぞれの持ち味を生かした多彩な内容」と驚くほどだ。

 ジビエ料理が楽しめる塙田1丁目の飲食店「里の香(か)」は、野生イノシシ肉「八溝ししまる」の紅茶煮をメニュー化(1~3日)。紅茶で煮ることでイノシシ肉特有の臭みが消え、柔らかい食感に仕上がったという。店主の野口利恵(のぐちりえ)さん(57)は「紅茶にはうまみ成分があり、大切なだしの一つ」と話し、紅茶の茶漬けなども商品化していく考えだ。

 東簗瀬1丁目の塚田歯科医院は、口腔(こうくう)ケアを考えたオリジナル紅茶「オーラルヘルスティー」を販売する(1~7日)。ワイズティーは新作紅茶「大人のモンブラン」(3日~30日)、ホテルニューイタヤは「紅茶のゼリーサンド」を販売(11月中)。大田原市中田原の岩上商店は「紅茶甘酒」の試作品プレゼント(27日、千円以上購入者対象)を企画している。

 幅広いジャンルでのコラボは、紅茶の可能性を感じさせてくれる。参加企業はワイズティー公式ホームページで紹介している。

企業担当者が紅茶の新商品発表や交流を深めた「栃木紅茶サミット」

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