【衆院選2021】政権の要に衝撃…甘利氏「野党共闘に苦しんだ」 どよめく永田町

自民党役員による当選のバラ付けの際も厳しい表情だった甘利幹事長(中央)=10月31日午後10時ごろ、都内の自民党本部

 神奈川県内最多の12選を続け、岸田文雄首相の新政権の下で自民党幹事長に就いた甘利明氏(72)が13区で敗北した。政権の要の進退にかかわる事態で、未明の永田町に衝撃が広がった。

 「ええっ!幹事長が選挙区落選?」。1日未明、都内の自民党本部。開票センターに詰めているマスコミ各社の記者や党職員がどよめいた。「辞任は避けられない」との見立てがたちまち広がった。

 開票開始直前に党本部入りした甘利氏の表情は終止、厳しかった。各局インタビューに答える形で「政策置き去りの一騎打ちの野党共闘には苦しめられた」などと振り返った。

 「コロナ対応を巡り政府与党への不満が強かった」「落選運動にも苦しんだ」と敗北を覚悟しているかの口ぶり。選挙区落選の場合には「進退を岸田党総裁に預ける」とまで明言した。

 この日は自身の金銭授受問題もたびたび問われ「当時、質問が尽きるまで受け答えをした」「ちゃんと(捜査当局に)調べてもらった」と反論。身振り手振りをまじえ、語気を強める場面もあった。

 選挙戦では応援で全国を駆け巡った。地元では代わりに地方議員らがマイクを握りカバー。コロナ禍で大規模集会を開催できないなど陣営には戸惑いもあった。報道各社の情勢調査で接戦を伝えられ、終盤の3日間は地元に戻り引き締め。最終日のマイク収め式では「これからの日本には私が必要だ」と訴えたが実らなかった。

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