【大相撲】照ノ富士に大先輩・白鵬の“影響”なし 目指す独自の「横綱像」とは

九州場所では連覇がかかる照ノ富士

大相撲九州場所(14日初日、福岡国際センター)で連覇を目指す横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が〝独自の横綱像〟の確立を目指す。9月の秋場所後に元横綱白鵬の間垣親方が現役を引退。今場所は文字通り一人横綱として重責を担う。照ノ富士は1日の会見で「準備をちゃんとしていれば怖がることはない。それで負けたのなら弱いだけのこと」とあくまで平常心で臨む構えを見せた。

一方で、間垣親方は引退会見で「後を託せる。頑張ってほしい」と後輩横綱を後継者に指名した。バトンを渡された格好の照ノ富士は「角界に明るい道をつくってくれた。やらなければならないことは多いので、責任を持ってやらなければ」と番付最高位の自覚を口にしつつも、大横綱の影を追いかけるつもりはないようだ。

照ノ富士の兄弟子で、2019年まで付け人を務めた中板秀二氏(元幕下駿馬)は照ノ富士の心境について「(白鵬を)意識していることはあまりないのでは。もちろん優勝回数や連勝記録の部分では、横綱である以上は目標であるとは思う。でも、本人は『太く短くしかやれない。できることを精いっぱいやる』と横綱になった時に言っていた。あくまでも自分がどんな横綱でありたいかということにまい進していくと思う」と語っている。

両ヒザに〝爆弾〟を抱えているだけに、大横綱のような長期政権は現実的ではない。目指すは「記録」より「記憶」に残る横綱といったところか。照ノ富士は2週間後の本番へ向けて「土俵の上でできることを全部やって、お客さんを喜ばせたい」。大横綱が去った土俵で、唯一無二の存在となれるか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社