駅の観光案内でAI活用 藤沢市が実証実験

簡単な操作で知りたい情報にアクセスできるAIコンシェルジュ=藤沢市

 ウィズコロナの新様式として藤沢市は1日、人工知能(AI)による観光案内の実証実験をJR藤沢駅の観光情報発信拠点「湘南藤沢コンシェルジュ」でスタートさせた。非接触型のサービスの普及へ向け課題を検証し、観光客の利便性や観光情報の精度の向上につなげる。

 実証実験では、ウェブ・AI制作のティファナ・ドットコム(東京都)が開発したAIコンシェルジュ「AIさくらさん(R)」を活用する。商業施設の受付、案内役などで導入されている。

 湘南藤沢コンシェルジュの入り口側面には、縦1メートル60センチ、横60センチのAIサイネージ(電子看板)を設置。宿泊施設や駅周辺施設、観光案内、交通案内、レストランなどの項目をタッチすると、21歳の女性という想定のさくらさんが笑顔で迎え、知りたい情報につなぎ案内する。保有するデータは300件近くに上る。音声でも質問したい内容を伝えることもできる。同製品による国内初の試みとして、AIで解決しない質問は、遠隔地にいる市観光案内所のスタッフがモニター越しに対応する。

 さくらさんは膨大な会話の基礎データを持ち、AIで解決できなかった質問内容をビッグデータとして蓄積し、観光案内としての精度を高めていく。対応する言語は日本語、英語、中国語の3カ国語。

 視察した鈴木恒夫市長は「シンプルな操作でとても使いやすく、情報内容も豊富。親しみやすいので、多くの人に使ってもらえるのでは」と感想を述べた。

 実証実験は、市内観光地への来訪者が増える年末まで実施する。市観光課は「案内機能のみならず、藤沢を訪れた観光客が何を求めているのかを把握するビッグデータとしても活用し、観光施策に反映さたい」としている。

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