育成選手を「本気にさせたい」 鷹の新コーチ・城所龍磨が子どもから学んだ指導法とは

就任会見に臨んだソフトバンクの城所龍磨3軍打撃兼外野守備走塁コーチ【写真:球団提供】

守備・走塁のスペシャリストが3年ぶりの現場復帰

ソフトバンクの城所龍磨3軍打撃兼外野守備走塁コーチが3日、就任会見に臨んだ。2018年に現役を引退して以来、3年間務めてきた少年野球教室の指導から、若手選手を育成する立場に立つ。三笠杉彦GMは、このステップをプロ野球における新たな指導者育成システムに繋げていきたいと言う。

守備・走塁のスペシャリストが新たな背番号「96」を背負い、コーチとして現場に復帰する。城所コーチは現役引退後、ホークスジュニアアカデミーのスタッフとして少年野球教室などで指導役を務めていた。

三笠GMは「満を持してアカデミーの指導を経て就任してもらった。ジュニアでの指導の経験を生かして若い選手の指導に当たってもらいたい」と期待し、城所も「子どもたちは本気でぶつかれば応えてくれる。育成選手は時間が限られているので、本気にさせてあげられるように」と“本気でぶつかり、本気を引き出す指導”を目指していくと誓った。

少年世代とプロの指導に、もちろん違いはある。「野球を好きになってもらうことが大前提」だった子どもたちと異なり、プロに入った選手は「好きな野球が仕事に変わり、義務化されてしまうことがある。野球は失敗のスポーツなので苦しくなってしまう」と城所コーチは言う。

子どもたちへのコーチングでは「向き合うこと」大切に

それでも「いろいろな角度から成功体験を増やせればと思う。『こうすれば成功するんだ』ということが増えれば、自分から動き出す子が増えていく。不安はたくさんあると思うので、それを解消して自信を持って試合に臨める形に早くもっていき、短期間で成長させてあげられたらと思う」と、成功体験を通して選手の長所を伸ばしていくつもりだ。

ジュニアアカデミーでは、最大50人の指導に当たり「十人十色で、同じ子はいない」と実感させられた。子どもたちの指導で一番大切にしてきたのは「レベルの差もある中、子どもごとに向き合ってあげること」だった。そういったジュニア指導の体験を、城所コーチがどう生かしていけるのかに注目したい。

三笠GMは「育成システムの拡大ということを申し上げていますが、本来であればジュニアの指導も含めて何らかの一貫した指導、指導者の育成をやっていきたい。野球の場合はプロとアマが分かれているが、例えばサッカーは一流の選手がジュニアの指導から始めて、その後シニアの指導に上がっていく制度がある。我々も何らかの方法で実現させていきたい」と語っており、城所のコーチとしての“成功体験”が今後の指導者育成システムに繋がっていく。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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