鷹の長谷川新打撃コーチが掲げた“独特な”指導方針「練習を強制することはない」

就任会見に臨んだソフトバンク・長谷川勇也1軍打撃コーチ【写真:球団提供】

「15年やってきた先輩として、やった方がいいよとは言います。やれとは言いません」

今季限りで現役を引退し、新たにソフトバンクの1軍打撃コーチに就任した長谷川勇也。3日に新任の小川史3軍監督、村上隆行1軍打撃コーチ、高谷裕亮2軍バッテリコーチ、中田賢一3軍投手コーチ、城所龍磨3軍打撃兼外野守備走塁コーチとともに就任会見に臨むと、早くも独特な指導理論を披露した。

現役通算1108安打、2013年には打率.341で首位打者、198安打で最多安打のタイトルも獲得したヒットメーカーは、コーチに就任しても、姿勢がブレることはなかった。会見の席では「経験がないので不安もありましたけど、自分の姿を評価してもらってのコーチなので、今まで通りの姿でやっていきたいと思います」と意気込みを語った。

自身の指導方針を語ったのは会見後の囲み取材になってからだった。現役時代には圧倒的な練習量を誇った長谷川。室内練習場に籠り、黙々とバットを振り込むのはキャンプの風物詩だった。ただ、この練習量を選手たちに強制するつもりはないという。

「僕は練習量は必要だと思ってやっていたので、強制することは僕からはないです。選手がどう思ってバットを振るか。15年やってきた先輩として、やった方がいいよとは言います。やれとは言いません。技術だけでなく、どういう意味なのか説明して、そういう機会があればしていこうと思います」

「下半身を使って、そこは徹底して指導方針としては持っています」

あくまでも練習はやらされるものではなく、選手が主体性を持って取り組むべきもの。成長するためには、自らの意志で鍛錬を積むしかない。練習の必要性、なぜやるのかという意義、そういったものを経験から伝えた上で、実際にやるか、やらないか、は選手次第だと、長谷川コーチは考えている。

その上で現時点のチームの課題も指摘する。コーチ就任が決まり、選手たちの打撃の映像を一通りチェック。そこで感じたのが「下半身の安定感がない」こと。「1軍コーチになることが決まってから各選手の映像を見て、共通して言えるのは。下がもっともっと使えればいいのかなと」と感じたという。

さらに「細かく言うと、もっともっと凡打の内容を上げていかないといけない」と“凡打”の内容が悪いという。打撃を追求してきた職人ならでは、の着眼点というのか。「ゴロの内容ももっと上げていければ、もっと成功する確率は上がると思う」と語り「下半身を使って、そこは徹底して指導方針としては持っています」と掲げた。

4日から始まる秋季宮崎キャンプで早速、後輩たちの指導がスタートする。「情熱がないと選手に伝わらないと思う。自分のためじゃなく、選手のために仕事したい。そういう情熱を持ってやりたいと思います」と語った長谷川。今季の課題とされた打撃部門の向上のため、若きコーチが立ち上がる。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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