〝ぶっ飛び〟新庄野球の根底はエンタメ要素マシマシの「ノムラの教え」

「ノムラの教え」を継承する新庄監督(東スポWeb)

北の大地に「ビッグボス」が誕生だ。日本ハムの新監督、新庄剛志氏(49)の就任会見が4日に札幌市内のホテルで行われた。グラサン、襟立、ド派手スーツで登場すると「ビッグボスと呼んでほしい」「僕は優勝なんか一切目指しません」などと〝新庄節〟をサク烈させた。とはいえ一見、ド派手な数々のパワーワードの裏には、根底にある「ノムラの教え」も見え隠れしている。

「新庄劇場・監督編」のスタートにふさわしい圧巻の展開だった。期待を裏切らない型破り就任会見に、集まった35社119人の報道陣が圧倒された。

まるでアカデミー賞授賞式のようないで立ちで「優勝なんか一切目指しません」「ビックボスと呼んでください」「試合中にインスタライブをやりたい」「再建案? まずは顔を変えていこうかな」と、およそ通常の監督就任会見では聞くことのできない〝新庄節〟が次々と飛び出した。

しかし、突拍子もない発言や表現方法の端々に関係者に対する配慮、野球に対する情熱や敬意が、見え隠れしているのもまた、新庄流。

肝心の監督としての本業、チーム改革案になると言葉に熱がこもり「やっぱり気持ちの面ですね。プロ野球に入ってくる選手のレベルは一緒なんですよ。ほぼほぼ一緒。ただメンタル的な問題であって、それを伸ばせないコーチ、監督の(問題)だと思う。僕はそのメンタル的なものに関してはものすごく引き出す力があると思う。そのメンタル的なものを鍛えながら、チームにピッチャー3人、野手4人のタレントを作り上げていけば素晴らしいチームになるし、タレントが生まれるとなれば全国に顔も背番号も名前も覚えてもらえる。そのときにはチームは強くなっている」と持論を展開した。

そして、3年連続5位からのチーム力底上げの根本には「人間教育」の大切さを説いた。

「人間性というものは大事であって人の悪口は言わない。『いただきます』『ありがとうございました』の言える選手は育てていきたいですね。僕はちゃらんぽらんにしていますけど、そういう上下関係はタイガース時代から、ちっちゃいときから親の教育でしっかりしたものを持っていたので、そういうものを続けて皆さんに納得してもらってこういう立場に立たせてもらった。選手には日々のプライベートとの生活は後で役立つよと教えていきたいと思う」

そこには「人として成長なくして技術的成長なし」が口癖だった阪神時代の恩師、野村克也監督の「ノムラの教え」をしっかりと継承した新庄監督の姿があった。

「プレーは実はみんなうまいんですよ。あるキッカケをつかんでもらえればドッカーンといく期待はしているので。でも人間性というものはなかなか変わらないと思うので」とも続けた新庄監督。

自身のしっかりとしたバックボーンとなっている「ノムラの教え」を選手教育の土台とし、そこに他を圧倒するエンターテインメント性を付け加える…。北のビッグボスは、誰もが見たことのない新たな監督像を作り上げてくれそうだ。

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