「『普通』って何?」 通信制高生の碇屋さん 生活体験発表大会で県知事賞

「言葉の持つ力で誰かの力になりたい」と話す碇屋さん=県立佐世保中央高

 長崎県内の定時制、通信制高校に通う生徒たちの生活体験発表大会で、県立佐世保中央高通信制3年の碇屋実慈(いかりやみちか)さん(24)が最優秀賞の「県知事賞」に輝いた。21日に東京で開かれる全国大会に県代表として出場する。碇屋さんは「誰かの何かの希望になればという気持ちを込めた。受賞すると思っていなかったので、うれしい」と喜びを語った。
 同大会は県高校定時制通信制教育振興会が毎年開催している。本年度は県内の定時制、通信制高校全8校から14作品の応募があった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため登壇しての発表は中止し、原稿審査とした。
 碇屋さんは、「『普通』って何?」というテーマで発表した。中学卒業後、全日制の高校に進学したが、うまくなじめず1年で中退。フリーターを経験した後、22歳で同校に入学した。
 そんな自分に自信を持てずにいたが、同級生や教員などさまざまな人との出会いや、生徒会長としての活動経験などを通して、「普通」ではなく「自分らしい」生き方を大切にしたいと感じるように。国語の教員になる夢も芽生えた。
 そして「普通の基準は人それぞれに異なっているはず」として、「多数派に属さないと幸せになれないなんて今は思いません。私は私だけの未来を、形作っていきます」と結んだ。
 現在は、大学入試と全国大会の準備を並行して進める、忙しくも充実した日々を送る碇屋さん。「全国大会では、聞いた人が『いろんな人生があってもいいんだ』と前向きになれるような発表を届けたい」と笑顔で話した。

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