YAZAWAの夜

 白いスーツや真っ赤な上下、黒の革ジャン。ビシッとキメたファッションの群れが続く。カレンダーの日付に大きなマルを付け、コロナの感染者数に神経をとがらせながら指折り数えて待った「永ちゃん」との対面だ、みんな気合十分。今夜は盛り上がっていこうぜ、ヨロシク▲背負ったタオルには〈E・YAZAWA〉。会社の真向かいの長崎ブリックホール、昨夜開かれたのは日本を代表するロックスター、矢沢永吉さんのコンサート▲音楽業界もコロナ禍の直撃を受けた。「力を合わせて、とにかく乗り越えて、また最高のステージを一緒に分かち合える日が来るように」-矢沢さんも昨年春、こんな言葉でファンに無念のツアー中止を告げた▲ステージの主役は1949年生まれの72歳で、ファンの年齢層もちょいと高め。感染対策でそれなりに抑制の利いた、しかし、抑えきれないホールの興奮や熱狂を想像しながら今、画面に向かっている▲感染状況は落ち着きを維持している。東京の感染者数は8日続けて30人を下回った。今月下旬に予定される矢沢さんの名古屋公演は入場者の上限を外す実証実験の対象に▲ツアーのタイトルは「I’m back!!」-帰ってきたよ。日常を取り戻す合図…まだ気が早いとは知りつつも、そう願わずにはいられない。(智)

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