名捕手・ポージーが引退 ジャイアンツの補強戦略に与える影響は?

来季の球団オプション行使が有力視されていた名捕手バスター・ポージーの現役引退は球界に大きな衝撃を与えた。ポージー自身は「最後のシーズンになるかもしれない」と考えて今季に臨んでいたようだが、球界のほとんどはこのような事態を予想していなかったからだ。さて、ジャイアンツは来季に向けた補強資金として、ポージーの年俸分(2200万ドル)が浮き、ペイロールに余裕が生まれたことになる。ポージーの電撃的な現役引退は、今オフのジャイアンツの補強戦略にどのような影響を与えるのだろうか。

今オフの捕手市場は不作と言われており、ジャイアンツがポージーの代役となるハイクオリティな捕手を外部から補強するのは現実的な話ではない(そもそもポージーの代役が務まる捕手などほとんどいない)。控え捕手のカート・カサリはあと1年保有可能なため、2018年ドラフト全体2位のプロスペクト捕手ジョーイ・バートに実戦経験を積ませながら、カサリがサポートしていく形になるのではないだろうか。

ポージーの捕手としての経験値は失われてしまうが、「ポージー資金」を使って攻撃面の穴を埋めることは可能だ。たとえば、今季途中に加入して今季終了後にFAとなったクリス・ブライアントとの再契約に動く可能性がある。また、ブランドン・ベルトとの再契約の可能性も上昇したとみられている。来季は若手捕手のバートがマスクを被る際にポージーが一塁に入る布陣が予想されていたが、一塁は完全に空いた状況。ベルトとの再契約はジャイアンツのチーム事情にフィットする。ポージーが引退した今、ベルトはブランドン・クロフォードとともにチームリーダーとしても貴重な存在だろう。

さらに、先発ローテーションも影響を受ける可能性がある。今季の躍進を支えた先発投手陣のうち、ケビン・ゴーズマン、アンソニー・ディスクラファーニ、アレックス・ウッド、ジョニー・クエイトの4人がFAとなったが、「ポージー資金」をここに投入することもできる。もちろん、FAになった選手全員を引き留めるのは現実的ではないが、たとえば「ポージー資金」を活用してブライアント、ベルト、ゴーズマンの3人と再契約できれば、ポージー引退によるダメージは最小限に食い止められるのではないだろうか。

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