ポージーは殿堂入りできるか MLB公式サイトの記者4人が座談会

オールスター・ゲーム選出7度、ワールドシリーズ制覇3度の名捕手バスター・ポージーが34歳の若さで現役引退を表明し、将来のアメリカ野球殿堂入りの可能性について議論が盛り上がっている。そんななか、メジャーリーグ公式サイトではアリソン・フーター、マーク・フェインサンド、サラ・ラングス、マリア・グアルダードの4人が座談会を開催し、ポージーの殿堂入りについて議論。ポージーが殿堂入りするという点については全員が一致したが、有資格初年度で殿堂入りするかどうかについては少し意見が分かれた。

ポージーのキャリアで最も価値があるのは、好打好守の正捕手としてジャイアンツを5年間で3度のワールドシリーズ制覇に導いた点だろう。2009年にメジャーデビューしたポージーは、2010年に新人王、前年の大怪我から復帰した2012年に首位打者とMVPを獲得。この2シーズンに加え、2014年にもワールドシリーズ制覇を経験した。実働12年、34歳の若さで引退したため、通算1500安打、158本塁打、729打点など積算系スタッツには物足りなさが残るものの、打率.302、出塁率.372、OPS.831など率系スタッツは優秀。こうした数字に表れない価値も含め、4人全員がポージーの殿堂入りを支持した。

フェインサンドは「彼のスタッツは殿堂入りするほどではないように見えるかもしれないが、捕手は他の野手と異なる判断をされるだろう」と指摘。「ポージーのようなキャリアを持つ選手は、必ずしも長くプレーする必要はない。クレイグ・ビジオのように、目立ったシーズンがないにもかかわらず、長くプレーして数字を積み上げた選手もいるけどね」と付け加えた。フーターは「彼は最も負荷のかかるポジションでプレーしながら3つのリングを獲得し、全盛期には球界最高の捕手として活躍した」と称賛。ラングスは「1000試合以上出場した捕手のなかで、ポージーのOPS+の数値は2番目に高い」というデータを紹介した。

ジャイアンツの番記者を務めるグアルダードは「彼には周囲の人間のパフォーマンスを高める能力があった。2011年に長期離脱したときや2020年に出場辞退したときは、チームのパフォーマンスが普段と大きく異なっていた」とポージーの存在の重要性を強調。また、フェインサンドは「メジャーリーグは彼のためにルールを変えた。そんな選手はほとんどいない」とコリジョン・ルールの存在も殿堂入りを後押しする要素になると主張した。

4人の意見が少し分かれたのはポージーが有資格初年度で殿堂入りするか否かという点についてだ。フェインサンドは「初年度で殿堂入りすべき」と主張。ラングスは「その年の投票用紙にどんな選手の名前が載っているか次第。たとえば、アルバート・プーホルスが今季限りで引退すれば、ポージーに入る票は減るかもしれない」とやや慎重な姿勢を見せた。グアルダードは「初年度で殿堂入りできない可能性もあるが、最終的にはクーパーズタウンに辿り着くだろう」と述べている。

また、ポージーがゴールドグラブ賞を1度しか受賞できなかった点については、フェインサンドが「ヤディアー・モリーナと同じ時代にプレーしたのが不運だった」と指摘。今後はモリーナと比較する議論も増えていくと思われるが、座談会に参加した4人はモリーナを「長きにわたって一流の捕手として活躍した」と評価し、「短いキャリアでインパクトを残した」ポージーと対照的ではあるものの、モリーナについても殿堂入りを支持した。

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