「大きなセット変更が奏功」とポールの小林可夢偉。トヨタ7号車は完走でタイトル獲得【WEC第6戦バーレーン予選】

 11月5日、バーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットでWEC世界耐久選手権の2021年最終戦バーレーン8時間レースの予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)のル・マン・ハイパーカー、7号車GR010ハイブリッドを駆る小林可夢偉がポールポジションを獲得した。

 1分46秒250をマークした可夢偉にとっては、今季4度目のポールポジション。ともに7号車を駆るマイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスにとっても、ドライバーズタイトル争いにおいて貴重な1ポイントを獲得するポールポジションとなった。

 これによりランキング2位の8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)との差は16ポイントとなり、この結果、7号車は6日に行われる決勝レースで完走を果たせば2021年ハイパーカーカテゴリーでのドライバーズチャンピオンを決めることとなる。

 ハートレーがアタックした8号車は0.290秒おくれの2番手で続いた。ナイトセッション故に下がった路面温度にも助けられ、2台ともに前週第5戦の予選タイムから向上を果たしている。

 前戦・第5戦バーレーン6時間レースですでにチームタイトルを決めているTGRにとって、新たな目標はWEC史上初となる、シーズン全戦勝利だ。

 6日に行われる決勝レースはシーズン最終戦というだけでなく、8号車をドライブする一貴にとっての、WECレースドライバーとしての最後のレースとなる。

勇退する中嶋一貴へのメッセージが記されたトヨタGR010ハイブリッドのフロントカウル

 一貴は通算59戦目となるこの決勝で、自身のWEC17勝目と、2018/19シーズン以来となるタイトル獲得を目指すが、これには7号車がリタイアし、8号車が優勝することが必須となる。

 決勝は6日(土)現地時間14時(日本時間20時)にスタートが切られ、その半分以上が夜間走行となる8時間の長丁場でドライバーズ・タイトル争いが決着する。

 予選アタックを担当したTGRの2名のドライバーのコメントは、以下のとおり。

■「一貴の最終レースという、個人的にも大切なレース」と可夢偉

・小林可夢偉(7号車GR010ハイブリッド)

「ドライバーズチャンピオン争いにとって非常に重要な予選だということは、TGR2台のドライバー双方が分かっていましたので、大変な戦いとなり、今年のレースの中で最も厳しい予選セッションでした」

「実際、我々7号車は練習走行でやや苦戦を強いられており、私自身ポールポジションが取れるかどうか分かりませんでしたが、マイク、ホセとチームが大きな支えとなってくれました」

「今回大きく車両セットアップを変更し、それが効を奏しました。自分のアタックラップには満足していますし、チームの努力によるポールポジションだと思います」

「最終戦を勝利で終えることができれば最高です。明日は一貴の最後のレースという、私個人としても大切なレースとなります。彼は最高のドライバーであり、チームメイトでした。彼にとっても最高のレースになることを願っています」

WEC第6戦予選でポールポジションを獲得した7号車GR010ハイブリッド

・ブレンドン・ハートレー(8号車GR010ハイブリッド)

「我々8号車は今週ここまで速さを見せてきたが、予選では可夢偉が非常にクリーンで素晴らしいアタックラップを見せてくれた。7号車を祝福する」

「私自身のアタックラップも比較的クリーンで、2台の間にはほとんど違いはなかったが、わずかではあるが、いくつか改善すべき点があった。このポールポジションで得られる1ポイントの重要性を両チームともによく分かっていたので、絶対にポールポジションを獲得したいと思って、全力を尽くしてアタックした」

「今日の予選結果から、ライバルの7号車に問題が起こらない限り、我々がタイトルを獲得するのは困難になったが、その結果は望んでいない。いまは、一貴とともに、彼のラストレースで勝利を挙げ、彼の輝かしいレースキャリアを優勝で終えられるように頑張りたい」

8号車GR010ハイブリッドの予選アタックを担当し2番手となったブレンドン・ハートレー

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