中嶋一貴「感情を抑えきれず、ドライビングに集中するのが大変だった」最終ラップ/WEC第6戦バーレーン

 11月6日(土)、バーレーン・インターナショナル・サーキットで2021年FIA世界耐久選手権(WEC)最終戦バーレーン8時間の決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)のGR010ハイブリッドがワン・ツー・フィニッシュを飾り、新規定『ル・マン・ハイパーカー』導入初年度のシーズンを終えた。

 中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーの8号車GR010ハイブリッドが今季3勝目を挙げ、TGRのWECレギュラードライバーとして最後のレースとなる一貴はラストレースを勝利で飾った。

 一貴はWECのレースに通算59戦出場し、17勝。2018/2019シーズンには、ブエミとフェルナンド・アロンソとのトリオで、日本人として初となる、4輪サーキットレースでのFIA世界チャンピオンに輝いていた。

 また、第4戦ル・マン24時間レースの覇者である小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名が駆る7号車GR010ハイブリッドは2位でこのレースをフィニッシュし、ハイパーカー時代の初代ドライバーズタイトルを獲得している。

 これにより、可夢偉は4輪レースで初めて2度の世界チャンピオンを獲得した日本人ドライバーとなった。

 また、TGRはWEC史上初となる、シーズン全戦での勝利とという新たな記録を打ち立てている。2012年の参戦以来通算70戦目となったこのレースで、前シーズンからの連続勝利記録も9へと伸ばすことに。TGRは前週行われた第5戦バーレーン6時間レースで、4度目となるチームチャンピオンも決めている。

「ハイパーカーの記念すべき初シーズンの全戦を勝利で飾れたことは、シーズン中に起きた多くの困難をチームスピリットで克服してきた我々チームにとって、とても大きな勲章となりました」と佐藤恒治TOYOTA GAZOO Racingカンパニープレジデントは述べている。

「この素晴らしい結果とともに今シーズンは終わりを迎えますが、さらに激しい戦いが予想される来年に向けて我々は早速準備を始めます」

「そしてこの戦いの場で得たものをもっといいクルマづくりにつなげ、ファンの皆様には来年さらに強くなったチームをお見せできるよう、努力を続けていきます」

 最終戦バーレーン8時間レースを戦い終えた、TGRの6人のドライバーのコメントは以下のとおり。

2021年WEC第6戦バーレーン、勇退レースでの勝利を喜ぶトヨタGAZOO Racingの中嶋一貴

■「素晴らしいチームワークが、最高のパフォーマンスを引き出した」と可夢偉

■7号車GR010ハイブリッド

・小林可夢偉

「今日の結果には満足しています。1回目と2回目を比べるのは難しいですが、再びマイクとホセとともに勝ち取った世界チャンピオンは最高です」

「このタイトル獲得を支えてくれたチーム関係者に感謝しています。特に日本からはとても大きなサポートをもらいました。8号車は今年毎回とても強く、彼らは最高のライバルでした。ずっとぎりぎりの戦いをしてきましたが、常にフェアに、お互いに敬意を払いながら戦ってきました。その素晴らしいチームワークが、最高のパフォーマンスを引き出したのだと思います」

「一貴はここバーレーンでも最後まで集中を切らさず、素晴らしい走りでした。彼とは若い頃から一緒にレースをして育ってきたので、彼がWECキャリアを勝利で締めくくることができたのは嬉しく思っています」

・マイク・コンウェイ

「2度の世界チャンピオン獲得ドライバーの仲間入りができ、最高の気分だ」

「2年連続でのタイトルだし、特に今年はついにル・マンも勝てたので格別だ。この1年、ともに戦ってきた最高の仲間である可夢偉とホセ、そして、チームクルーを誇りに思う」

「今日のレースでは、我々も全力で8号車に挑んだが、彼らが勝利した。彼らとのレースは常に最上の喜びであり、そこから一貴がいなくなってしまうのは不思議な気分だ。彼とのレースは最高だった」

・ホセ・マリア・ロペス

「チームと8号車のクルー、そして遠くからサポートしてくれた、日本の東富士とドイツ・ケルンの関係者全員に祝福を送る。彼らやマイクと可夢偉の存在無くしては、タイトル獲得は成し得なかった」

「正直なところ、このチームの一員としてレースに勝ち、チャンピオンを獲得できたことは本当に幸運だったと思っている。関わってきた全ての人に感謝したい」

「一貴は本当に素晴らしいドライバーであり仲間で、彼がいなくなるのはとても寂しい。一貴、セブとブレンドンは今シーズン本当に強敵だった。今日の勝利は彼らにふさわしい」

ドライバーズタイトルを獲得した7号車GR010ハイブリッド陣営

■8号車GR010ハイブリッド

・中嶋一貴

「このような最高の結果でWECのキャリアを終えることができ、本当に嬉しいですし、最高のチームメイトに恵まれた私は幸運でした」

「チームとして最後まで全力で、諦めることなく戦い続けました。ファイナルラップでは、感情を抑えきれず、ドライビングに集中するのが大変でした」

「しかし、なんとかトップでチェッカーフラッグを受けることができ、私自身はレースで勝利、7号車がドライバーズタイトル獲得、TGRがチームタイトルを獲得するという最高の結果となりました。本当にみんなの反応が嬉しく、感動しています」

「チームメイトや、TGRの関係者、ずっと支えてくれた全ての人に本当に感謝しています」

・セバスチャン・ブエミ

「シーズン最終戦の結果に満足している。一貴の最後のWEC戦という特別なレースを一緒に勝利で祝うことができて良かったし、彼のキャリアにふさわしい結果だったと思う」

「我々は今日できる全てを尽くした。今日は、前週の6時間レースよりもタイヤにやさしいセットアップで、エネルギーを節約して戦略的な幅を拡げることができたし、我々はレースペースも良く、ライバルよりもやや速かった」

「チャンピオンを獲得した7号車を祝福したい。彼らの今年の戦いぶりは素晴らしく、チャンピオンにふさわしい」

・ブレンドン・ハートレー

「前週のレースがタフだっただけに、今日のレースを勝利で終えられて良かった。今日は強さを見せることができた」

「ドライバーズチャンピオンを獲得した可夢偉、マイクとホセ、本当におめでとう。シーズンを通して、2台の戦いは本当にハードで、その結果勝ち取ったタイトルだ」

「そして、WECキャリア最後のレースを勝利で飾った一貴にも、彼のこれまで成し遂げた全てのことに対して、祝福を送る。彼のラストレースとなってしまうのは悲しいが、最後の2週間、本当に速かった彼が最高の結果で終えられたことをとても嬉しく思う」

表彰台の様子

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