劇的サヨナラのポニー江東ライオンズは「ノーサイン」 選手に決断託したワケ

ポニーリーグの関東秋季コルト選手権大会で優勝した江東ライオンズ【写真:川村虎大】

劇的サヨナラ勝利を収めた江東ライオンズ

打球がセンターの頭上を越えると球場が沸いた。7日に行われたポニーリーグ(中学硬式野球)の関東秋季コルト選手権大会決勝。江東ライオンズは、横浜旭峰ポニーに4-3で劇的サヨナラ勝利。3年生最後の大会を最高の形で締めくくった。

【動画】中学生とは思えない…江東ライオンズ先発・住吉健太郎の“急落”カーブ

「実は今大会、僕はサインを出していないんです」。試合後、小柳雄二監督は明かした。3年生のみが出場するコルト部門最後の大会。自ら指示をするより、選手が考え、選択することが次につながると考えたからだ。

決めたのはオーダーと選手起用のみ。「優勝はもちろん嬉しいですけど、3年生ですからね。上の舞台に行くので、考えてやらせた方がいいかなと。実際、選手同士でよく話し合っていました」。選手らが考えたのは、バントを使わず、早いカウントで打つことだった。

中盤4イニングで1安打5三振でも選手らに託した

その作戦は始めは上手くいかなかった。序盤に相手の失策で2点を奪ったが、3回から6回までわずか1安打で三振は5個。先発の住吉健太郎投手は6回2失点の力投を見せたが、最終7回に1点を勝ち越された。

あと3アウトで敗退まで追い込まれた江東ライオンズ。それでも小柳監督は選手らを信じ、サインは出さなかった。「ドキドキしましたけど……。でも、1人出れば、勝てるんじゃないかなとは思っていました」。

先頭の嘉数が死球で出塁すると、続く水嶋がボールを見極め四球。さらに三橋がしぶとく右前に運び、無死満塁で主将・小板橋に回した。詰まりながらも打球はセンターの頭上を越え、劇的な2点サヨナラ適時打となった。

考える野球で頂点に立っても「まだまだ中学生だから」と小柳監督。江東ライオンズで培った“自主性”を武器に、上の舞台での活躍を期待した。

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(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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