ソフトバンク・小久保新二軍監督を直撃 若鷹に叩き込みたい「古き良きもの」とは

水谷(右)の練習を見守るソフトバンク・小久保二軍監督(東スポWeb)

常勝軍団再建のキーマンだ。ソフトバンクの小久保裕紀二軍監督(50)がインタビューに応じ、骨太の〝若鷹意識改革〟への強い決意を語った。育成方針として掲げたのは「強い体」「強い意志」「忍耐強さ」の3か条。時代の流れが変わってきている中で新しい考えは柔軟に取り入れつつも、変わらぬ成功への真理である「古き良きもの」を強い信念で伝えていくつもりだ。

――二軍監督就任の所信表明で「強い体」「強い意志」「忍耐強さ」の3か条を掲げた

小久保二軍監督(以下小久保)ずっとBクラスだったのが、王監督になられて1999年の初優勝を境にして強くなったチーム。その中でレギュラーはオープン戦を含めて、全試合に出て当たり前という教えのもとでやっていた。違和感があったら休んで100試合くらいで3割2分打った選手が、全試合に出て2割7分の選手よりも評価が高かったら、みんな休むことになってくる。それでは組織として弱くなる。今年は(甲斐)拓也も栗原も全試合に出た。柳田は最後2試合休みましたけど。レギュラーは出続けられることが基礎。出続けられる体をつくっていくということで、強い体を最初に挙げました。

――練習量についてもまだまだ少ないと

小久保 今度、選手とミーティングをしますけど、時代の流れの中で、フラフラもうろうとなりながらノックを受けたり「自分の限界ってどのへんにあるんだろう」という練習をしてきていない子が多いんじゃないかと思うんです。それって、できるのは22~23歳までなんですよ。特打で打撃投手が倒れるか、打者が倒れるかという時間の過ごし方をしたことがないと、せっかくプロに入って輝ける場所があるにもかかわらず、その舞台に立てず終わってしまうかもしれない。本当に疲れ切った時に力が抜けて感覚をつかめることがあるんです。そこには付き合う我々の覚悟も必要になります。

――やらせていくことはパワーもいる大仕事

小久保 ユニホーム着ている時間なんて人生でいえばわずか。その中で自分をとことん追い込める時間って、もっと短いわけじゃないですか。我々が提案して、そういうメニューを組まない限りは、本人が自分を追い込むことは難しい。本人がつかめれば、やって良かったとなるでしょうし。でも、最初にコーチ陣に話したのは人間教育です。人づくり。高校から入っていきなり社会に出た選手が、最初に接するのが我々首脳陣。人の目を見て話すことや、あいさつ、返事を含めて、緩くなった時は指摘するのも(二軍首脳陣の)役割はあると思う。

――今の若い選手に伝えていく難しさは感じるか

小久保 クビになった時に、もっとやっておけば良かったという選手も多い。「ユニホームを着ている時間って短いよ」ということは言い続けていきたい。あと、古いものは古いで、新しいものに変える必要があると思う。我々がアップデートして勉強した上で新しいものを提供する。でも、古き良きものはしっかり残しながら伝える。この見分けをするのも仕事だと思う。「若い選手たちの時代だから…」では変わらないものが、古き良きもの。たとえば人としてどうあるべきかの根本は変わらないと思う。そこはしっかり彼らにアプローチしていかないといけない。

――指導の上で大事にしていくこと

小久保 僕は答えを自分で見つけたものが勝つと思っている。コーチに(技術的に)言われたことを繰り返しやっていたら一流にはなれない。二軍のコーチには「選手にしゃべらせてくれ」「聞き出してくれ」と言っている。どう考えて何を求めてやっているのか。選手にしゃべらせてから、コーチがしゃべる。(選手が)自分で気づいて問題意識を持ったうえで、コーチにアプローチしてもらいたい。

――対話を重視する

小久保「一方通行禁止令」を出しました。まずは向こう(選手)から。「なぜ?」「どうして?」を頻繁に使うようにというところですかね。

――球団への恩返しという話もしていた

小久保監督 そのためにも人づくりだと思う。下からの突き上げなくして組織の活性化はない。これから一軍でチャンスがありそうな選手には、英才教育というかチームのリーダーとして振る舞うにはどうしたらいいのかという話もしたい。そういう選手が出てきてくれるのを楽しみにしています。

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