『公明党=創価学会』の図式は足かせじゃない?自民党支持層は応援してくれる?乙武洋匡が公明党・岡本三成氏に迫る!

選挙ドットコムでは、乙武洋匡氏をMCに迎え選挙や政治の情報をわかりやすくお伝えするYouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」を毎週更新中です。

今回は2020年11月29日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは公明党・岡本三成議員です。選挙での戦い方や創価学会員との関係について伺いました。

「選挙が好きで、人に会うのが好き」

元公明党代表、太田昭宏氏の選挙区を受け継いだ岡本議員。乙武氏は、「東京12区は公明党がずっと守ってきた小選挙区です。公明党代表まで務めていた方がいらっしゃった選挙区を3期目の方が引き継ぐのは、党から相当期待されていますよね?」と尋ねます。

岡本議員は、「期待されているかどうかは分かりませんが、大変なプレッシャーだし大きな責任を頂いたと思います」と答えました。

続けて乙武氏は、「比例で選挙に臨まれていた時と小選挙区の枠を与えられた後で、選挙の戦い方や日々の活動の仕方は変わりますか?」と尋ねます。

岡本議員は、「全く違います。良い・悪いとか、大変・簡単とかじゃなくて、使っている筋肉が違うという感じだと思います。北関東比例区で活動していた6年半は、4県(埼玉県・群馬県・栃木県・茨城県)が選挙区だったから移動にも時間がかかります。どんなに選挙区を回っていても、お目にかかる方とは久々に会うことになる。

それでも、選挙区を回ることで地域全体の大きなニーズを受け止めることに繋がりました。東京12区の場合は北関東4県よりかなり狭いので、色々な方とお目にかかる頻度も増えています。それぞれの地域の課題を共有することも大枠では変わりませんが、以前と比べて動き方が変わってきました。

ただ、やっている本質は同じです。地域の方のお目にかかり、何に問題意識をお持ちで、何に困ってらっしゃって、政治に何を期待しているのかを伺う。そして、政策の中で実現させていくことです」と答えました。

東京12区の場合は、自民党が候補者を立てません。岡本議員は、自民党の支持層をどう掴むのでしょうか。

「太田昭宏さんはビッグネームで、自民党支持層からも大きな信頼を勝ち得ていたような議員でした。太田さんから急に私になって、会ったことがないような人間をいきなり応援するなんて、できる訳がありません。お一人お一人のお目にかかって地域のことを教えて頂き、何をやりたいのかをお伝えしながら、何とか応援して頂けるようにお願いしている。今後この地域で活動していくお許し頂いているような感じです」と岡本議員は話しました。

乙武氏は、「『選挙では辛い目にあって大変だ』と仰る政治家が多いです。太田さんと岡本さんは結構持ち味が違うと思いますが、有権者から直接不満を言われたことはないのですか?」と尋ねます。

岡本議員は、「もちろんありましたが、気持ちは分かります。『太田さんは応援していたけど、岡本はどうかな?』と思うのが普通です。私は選挙が好きだし、人に会うことが好きだし、プレッシャーは感じるけどストレスが溜まることはほとんどありません。選挙活動も選挙に至る前の政治活動も、街頭に立つのも楽しめている」と話しました。

乙武氏曰く、岡本議員のTwitterには、岡本議員が毎朝どこかしらの駅前に立って演説されている姿がアップされるのだそうです。岡本議員は、「(毎朝の演説も)努力の末とは思っていなくて、楽しくやれている。誰かに会ってお話を聞いたり一緒に考えたりすることは、楽しいです」と話しました。

 

公明党=学会、何か足枷になっていることは?

乙武氏は、「小選挙区の方が一人ひとりの声を拾えるのですか?」と尋ねます。

岡本議員は、「間違いないです。2019年は、夏祭りと盆踊りだけで321か所を回りました。おそらく今、国会議員で盆踊りが一番うまいのは私です。盆踊りの場所で色々なことが話せるかと言ったらそうではありません。ですが、一度会って顔が分かっていると、次に何かある時に色々ご相談に来て頂けるキッカケになります。

イベントに行って、ただ顔を見てもらう、名前を覚えてもらうだけでは、選挙活動にはなるけど政治活動にはなりません。政治活動は、イベントを取っ掛かりとして色々な方とコニュニケーションを積み上げていくための出発点という感じです」と答えました。

乙武氏は、「政治活動や選挙活動をしていく上で、公明党=創価学会というイメージが足枷になっていると感じることはありますか?」と尋ねます。

岡本議員は、「足枷というのは感じません。私自身も、創価学会員の方に支援して頂いています。ただ、国民は創価学会ばかりではなく、それ以外の方にも多くのご支援を頂いています。僕の中では、あまりそこの縦分けはないし、意識していません」と答えました。

続けて乙武氏は、「この前お話を聞いてビックリしたのですが、他の党にも創価学会員がいらっしゃるようですね?」と尋ねます。

岡本議員は、「創価学会員の方が政治家になろうと思った時に、公明党じゃなきゃいけないというルールはありません。公明党以外にも創価学会員がいて当然です。創価学会の教えと公明党の党是では、人間主義生命尊厳主義現場主義庶民目線という大きな価値観は重なっていると思います。私は、公明党の主要な方に「こういう政策を推し進めてください」と言われたことは一度もありません」と話しました。

「応援して良かった」と思われるような議員になりたい

岡本議員には、よく話す創価学会員とのエピソードがあるのだそうです。

「はじめて選挙に挑戦した時、群馬県の嬬恋村から、創価学会員の方が私の講演会を聞きに来てくださいました。80歳ぐらいの女性の方でしたが、講演会が終わった後に私のところへお願いに来ました。『私は年金受給でギリギリの生活をしているが、もうちょっと少なくても何とかやっていける。

私の年金を削っていいから、子供たちの未来のためにもっとお金を使ってくれないか』と仰ったんです。僕は言葉にならない程、感動しました。恐らくそのような方が創価学会員には多い気がします。自分がどう利益を得たいとかではなく、もっと良い世の中にして欲しいもっと良い未来を作って欲しいという大きな価値観を共有してくださる。

創価学会員にも創価学会員じゃない方にも色々な方がいますが、具体的な駆け引きや個別の要望を言われたことがない。手弁当で、ボランティアで協力してくださり、感謝の思いしかないです」と岡本議員は話しました。

乙武氏は、「私の母も、嬬恋村の女性の方と同じことを普段から言っています。人口比率を見れば、高齢者の方が多くのボリュームを占めている。もし彼らが自分たちの世代の利益になることだけを訴えて、それを投票行動に移してしまえば、この国の未来はいびつなものになってしまいます。そんな中で、高齢層になっても『未来のために』と思ってくださる方が増えるのは、ありがたいです」と投げかけます。

岡本議員は、「自分以外のことも含めて、より良い社会やより良い未来を作りたいという思いが伝わった時に、本当にありがたいと思います。そういう人たちに『応援して良かった』と思って頂けるような議員になりたいし、仕事がしたいと思います」と話しました。

 

岡本三成氏プロフィール

1965年佐賀県生まれ。創価大学卒業後、シティバンクに入社。同社勤務時に世界9万人の行員の中から2名だけが選出される「フェニックス・アワード」を受賞。米国ケロッグ経営大学院にて経営学修士号を取得した後、ゴールドマン・サックス証券で勤務。2012年、公明党公認で衆院選に立候補し、初当選。以降当選を重ね、現在4期目を務める。公明党青年局次長、外務大臣政務官などを歴任。現在は公明党国際委員長代理、同党国土交通部会長などを務めている。

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