アルピーヌの仕事には満足も、「フラストレーションの溜まる1年」だったとラピエール/WEC

 アルピーヌ・エルフ・マットミュートから、2021年シーズンのWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに参戦したニコラ・ラピエールは、チームにとって初めてとなったノンハイブリッドLMP1カーでのトップクラス挑戦について「アルピーヌは良い仕事をした」と評価しつつも、「とてもフラストレーションのたまるシーズンだった」と語った。

 ラピエールとアンドレ・ネグラオ、マシュー・バキシビエールの3名は、TOYOTA GAZOO Racingが今季6戦のすべてで勝利を収めたため、LMHル・マン・ハイパーカー規定の下でスタートしたハイパーカークラス初年度に表彰台の頂点に立つことは叶わなかった。

 オレカ製のLMP1カー『アルピーヌA480・ギブソン』は第2戦ポルティマオで、バキシビエールのアタックによってチーム唯一のポールポジションを獲得したが、勝利には結びつかず。シグナテックが運営するチームの今季最高成績は、開幕戦スパ・フランコルシャンと第3戦モンツァの総合2位となっている。

 この他、アルピーヌは各ラウンドで表彰台に上り、ポルティマオとル・マン、そしてバーレーン2連戦では総合3位を獲得した。

 ラピエールは、過去にLMP2クラスでWECシリーズタイトルとル・マン優勝を成し遂げているチームが、新しいマシンとクラスにうまく適応できたにもかかわらず、このキャンペーンは競争面で厳しいものだったと評価している。

「とてもフラストレーションが溜まった」とラピエールはSportscar365に語った。

「トップカテゴリーへの移行は大きな一歩だったので、チームがの仕事に満足している。そこにはマネジメントするものが数多くあった」

「私たちはここ(第6戦バーレーン8時間)では問題を抱えていたが、チーム全体としては良い仕事をしたと思うし、シーズンを通してすべてがスムーズに進んでいた」

 しかし彼は、ハイパーカークラスではトヨタがトラブルフリーで余裕の勝利を収めたレースもあることを指摘し、いくつかのイベントは「非常に退屈なレース」だったと述べている。

 オレカが製作したアルピーヌのノンハイブリッドLMP1カーは優れたペースを見せていたにもかかわらず、トヨタのハイブリッド車のスティント長に合わせることができなかった。

アルピーヌ・エルフ・マットミュートのニコラ・ラピエール(中央)

「レースがスタートすると、我々は何もすることができないことが分かってしまう」とラピエール。

「(トヨタは)今年、新車でありながら信頼性の高いクルマを2台持っていた。これは非常に印象的なことだと言わざるを得ない」

「彼らにはそう多くの問題がなかったので、その点は本当に良かったと認めないといけない。しかし、私たちはレースのあらゆる面で、これほど離されてしまったことにとても苛立ちを感じている」

「それは僕たちが少し速い分、スティントが短くなっているというわけではない。バランスがとれていないんだ。僕たちはペースだけではなく、1スティントの長さでも彼らよりステップダウンしたところに置かれている。そこで戦うのは非常に困難だ」

「すべての面でショーでなければならない。自宅でレースを見ている人たちのためにも、サーキットに訪れる人たちのためにもね。そこにショーがあれば、レースはもっと素晴らしいものになるだろう」

 アルピーヌは2022年も引き続き、ノンハイブリッドLMP1カーでのWECハイパーカー参戦を計画しているが、このLMP1マシンは先日、本来はLMH向けのハイパーカークラスへの“グランドファーザー”として、同クラスへの参加を1年延長するための承認を受けている。

© 株式会社三栄