豊田章男オーナー、WEC最終戦と中嶋一貴勇退にコメント「3万キロの戦いをありがとう」デビッドソンへの謝意も

 11月6日、WEC世界耐久選手権の2021年最終戦『バーレーン8時間レース』。ハイパーカークラスに今季新型ル・マン・ハイパーカー、GR010ハイブリッドを投入したトヨタGAZOO Racingは、8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)が優勝を飾り、2位に入った7号車GR010ハイブリッドのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスがドライバーズタイトルを決めた。

 イベント前に勇退を発表していた中嶋一貴にとっては、自身最後のWECのレースでの勝利となった。

 レースのフィニッシュから4時間半後、チームオーナーである豊田章男氏のコメントが、トヨタから発表されている。豊田チームオーナーのコメント全文は以下のとおり。

●豊田章男TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー コメント
可夢偉、マイク、ホセ、一貴、セブ、ブレンドン、そしてチームのみんな
先週言わなかったけど、まずはチームチャンピオンおめでとう!

ハイパーカー最初の年に6戦全戦で優勝してくれました。しかし、それらが決して楽な勝利でなかったことはわかっています。

新たな挑戦として我々がつくったGR010 HYBRIDはドライバーにとって“安心して運転できるクルマ”“運転しやすいと思えるクルマ”では決してなかったと思います。

優勝していない方のクルマがなにかしらのトラブルを抱えて走り続けていたこともありました。ル・マンでは前戦で起こしたトラブルに対策しきれずドライバーの絶大な努力のもとで走り切ることができた勝利でした。

そんな2台のクルマをチャンピオンカーにしてくれたこと本当に感謝しています。
みんな、ありがとう。

可夢偉とマイクとホセはドライバーズタイトルもおめでとう!
「ル・マン優勝おめでとう!」
「ドライバーズチャンピオン“も”おめでとう!」
この両方を言えていなかったのでようやく言えてホッとしました。本当によかった!!

2021年の世界耐久選手権、あと2つ感謝の言葉を伝えさせてください。

ひとつは新たなクラスでの戦いを支えてくださったパートナーの皆さまと応援し続けてくれたファンの皆さまに向けての感謝です。
今シーズンも一緒に戦っていただきありがとうございました。

もうひとつは…
今回のバーレーンでの勝利を最後にこのシリーズのドライバーズシートから降りることを決めた一貴への感謝です

一貴は2012年からこの挑戦に力を貸してくれていました。10年間、戦ってくれたレースの距離はおよそ3万キロ。シーズン前の30時間走行テストなども考えればもっと長い距離かもしれません。耐久レースという本当に過酷な道の上でトヨタのハイブリッドを鍛え続けてくれたこと感謝しています。このハイブリッドの進化は今の世の中、そしてこれらからの世の中にも大きく関わっていくものになっていると思います。

3万キロの戦いをありがとう。

そして、2016年にあと13.629km長く走らせてあげることができていたら…
そんなこともやはり思い出します。しかし、あの時のことも含めて我々トヨタを強くしてくれたのも一貴だと思います。

10年間、本当にありがとう。

これからも
“トヨタのもっといいクルマづくりのため”
“モータースポーツのため”
そして
“自動車産業のため”に
一緒に戦っていってほしいと思っています。
引き続き、力を貸してください。

チームオーナー 豊田章男

追伸
2016年に同じくあと13.629km長く走らせてあげることができなかったアンソニーも今シーズンで引退と聞きました。

ル・マンで初めて勝てた時はドライバーという立場ではなかったけれど影でチームを支え、勝利に貢献してくれていました。
改めてアンソニーにも感謝の言葉をおくります。

ありがとう。おつかれさまでした。

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