【レースフォーカス】レース終盤に発生したオリベイラとレクオーナのアクシデント/MotoGP第17戦アルガルベGP

 MotoGP第17戦アルガルベGPの決勝レースは、24周目に提示された赤旗によって終了となった。赤旗の原因となったのは、ミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)とイケル・レクオーナ(テック3・KTM・ファクトリーレーシング)の転倒である。
 
 トップを走るフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)を始めとするライダーが24周目に入ったとき、後方を走っていたオリベイラとレクオーナによるクラッシュが発生した。このアクシデントによって赤旗が提示され、レース全体の25周の75パーセントを終了していたことから、23周でレースは成立。23周完了時点の順位が最終結果となった。
 
 オリベイラとレクオーナのクラッシュは13コーナーで発生した。11番手を走行していたオリベイラ、そしてレクオーナはそのすぐ背後につけていた。レクオーナは13コーナー進入でハードブレーキングし、オリベイラのインに入る。しかし旋回中にフロントが切れ込み、スリップダウン。レクオーナのアウト側にいたオリベイラを巻き込む形で転倒してしまった。オリベイラはレクオーナのバイクと自身のバイクに左足を挟まれ、レクオーナとともにアウト側のグラベルに滑っていった。
 
 レクオーナは、アルガルベGPで苦しんでいたKTM勢の中で唯一予選Q1を突破し、10番グリッドを獲得。さらに、決勝日の午前中に行われたウオームアップ・セッションでも3番手につけていた。しかし、決勝レースではフロントタイヤに問題を抱えていたという。

「今朝は調子がよかったんだけど、レースではバイクを止めるのにかなり問題を抱えていて、10周目以降はフロントタイヤに悩まされていた。何度もロックして、3、4度、転倒しそうになっていたんだ」

 トップ集団からは離れてしまったものの、トップ10争いができる自信があった、と言うレクオーナ。転倒時についてはこう説明している。
 
「ミゲールやブラッド(・ビンダー)、(エネア・)バスティアニーニとポジションを争っていた。あのクラッシュの2周前、僕はミゲールやほかのライダーを同じところ(13コーナー)でオーバーテイクしていて、あそこは僕が強いポイントだった。でも、ミゲールをオーバーテイクしようとしたとき、ちょっとしたバンプに当たってしまってフロントタイヤが切れ込んでしまったんだ。回避できず、転倒してしまった。そして、僕のバイクがミゲールに当たったんだ」

 転倒の後、レクオーナは担架で運ばれたオリベイラに駆け寄り、言葉を交わしている様子だった。

「レースは終盤で、フロントタイヤでたくさんミスをしていたから、あれは(オーバーテイクするのに)よくないタイミングだったのかも……。もちろん、あれは僕のミスだ。僕は『ごめん、大丈夫?』とミゲールに謝った。彼は『大丈夫だよ』と言ってくれたよ」

 母国グランプリを転倒リタイアという形で終えたオリベイラは、レース後、病院での検査に向かい、そのため囲み取材は行われなかった。ただ、翌日に彼の肉声によるコメントが届いた。それによれば、大きな怪我はなかったという。
 
「レース後、検査を受けたけれど、問題なかった。よかったよ。昨日は残念だった。レースは今週末でいちばんうまくいっていて、トップ10でレースを終えられると思っていた。スタートもよかったしね。転倒については残念だった。最終戦のバレンシアではいいレースができることを願っているよ」

 審議後、このアクシデントに対するペナルティなどは科されていない。赤旗提示のアクシデントということで緊張が走ったが、二人に大きな怪我がなかったことは幸いだった。

■A.マルケス、表彰台争いを展開した4位

 24周目に赤旗が振られるまで、デッドヒートを繰り広げていたのが、ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)と、アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)による3番手争いだった。結果的に、ミラーが3位。そして、アレックス・マルケスは4位という今季自己ベストリザルトでアルガルベGPを終えている。
 
 アレックス・マルケスは8番グリッドからスタートし、12周目にミラーをかわして3番手に浮上した。ミラーは終盤に向けてタイヤをマネジメント。19周目あたりからアレックス・マルケスの背後に迫り、パス。レース終盤に二人は接戦を展開した。表彰台を逃しはしたものの、アレックス・マルケスはドゥカティ勢が好調だったアルガルベGPで、2位のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)とともに表彰台争いに食い込んだライダーだった、と言える。
 
「アルガルベGPでは、金曜日から明らかによくなっていた。あまり多くのことは試していないけれど、ライディングスタイルに集中していた。これがこのレースウイークのカギだったと思う」

 今季、苦しいシーズンとなっていたアレックス・マルケス。「僕だけじゃない。チームにとっても大きな結果だ」と、表彰台に迫った4位について語っていた。

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