無登録ファンド勧誘に1200万円出資も 県内被害者「原資だけでも返して」

 「怒りしかない。金も時間も費やしたのに」。金融商品取引法違反容疑で沖縄県出身の会社役員の男(53)らが逮捕された事件で、1200万円を出資した那覇市の会社役員男性(57)が琉球新報の取材に応じ、心境を吐露した。男性は「せめて原資だけでも返してほしい」と声を落とし、悔しさをにじませた。県内では事件に関係する投資セミナーが開かれており、他にも被害者がいるとみられる。

 男性は友人の誘いで、2020年3月に糸満市で開かれたセミナーに参加した。セミナーでは高配当をうたい、暗号資産(仮想通貨)への投資を呼び掛けていた。

 男性によると、出資者の中で、いくつかのグループを作り「ネズミ算式」に参加者を増やしていた。グループの頂点にいる人を「プレジデント」と呼び、その成功体験を紹介しながら、セミナーに来た人の投資意欲を高めていた。

 投資の状況は、インターネットの専用サイトで確認できる。男性は「原資の約2倍まで金額が増えていた」と話すが、20年夏ごろから現金化ができなくなった。「被害者の中には、銀行から借り入れて、投資した人もいる。原資だけでも返してほしい」と訴えた。

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