岸田内閣の支持率は低調な出だし 10月世論調査まとめ

10月中に行われ、有効回答数や回答を公開している報道機関9社、および選挙ドットコムの世論調査の結果をまとめ、比較しました。なお、各社の調査日や手法は異なるため、あくまでも参考値としてご覧ください。

岸田内閣の最初の支持率は、平均して5割弱

 菅義偉首相の退陣を受け、10月4日に発足した岸田文雄内閣。先日の第49回衆議院議員選挙で自民党は15議席減となったものの、絶対安定多数の261議席を確保し、岸田氏の首相続投は決定しました。公明党の32議席を含め、与党にとってまずは勝利と呼べる結果に終わったと言えるでしょう。

では、発足当時の支持率をまずは振り返ってみましょう。岸田内閣発足後の最初の調査では、そのほとんどが4割~5割台に落ち着きました。

岸田内閣発足後の最初の調査では、もっとも支持率が高かったのは日本経済新聞・テレビ東京の調査で59.0%。次いでJNN(TBSテレビ)の58.6%になっています。

反対に、最も低かったのは選挙ドットコムの調査で38.5%。次いで低かった時事通信の調査では、40.3%になっています。

ちなみに、昨年9月に発足した菅内閣の最初の調査と比較すると、この数値はいずれも大幅に低いものとなっています。たとえば、当時の日本経済新聞・テレビ東京の調査(2020年9月16-17日)は74.0%。JNNの調査(2020年10月3-4日)が70.7%。平均値としても菅内閣の最初の調査が60%強であったことに比べて、岸田内閣の最初の調査は50%弱と、低迷ぶりが目立つ結果になりました。

一方、内閣不支持率に目を向けてみます。もっとも高かったのは毎日新聞・社会調査研究センターの調査で40.0%。次いで高かったのはJNNの調査で、34.7%となりました。

反対に、最も低かったのは時事通信の調査で、18.8%。次いで低かった朝日新聞の調査(10月の第1回目)では20.0%になっています。

内閣不支持率は、昨年の菅内閣の発足当時と比較すると、より数値の高さが目立つ結果になっています。たとえば当時の毎日新聞・社会調査研究センターの調査(2020年9月17日)では27.0%。JNNの調査では24.2%となっており、それぞれ10ポイント以上の上昇となっています。平均値としては昨年の菅内閣の最初の調査が約19%であったことに対して、岸田内閣の最初の調査は約27%となりました。

なお、10月は選挙が間近であったこともあってか、複数回世論調査が行われた社もありました。ここでは暫定的に朝日新聞、NHK、読売新聞・日本テレビを参照しますが、いずれも10月の最初に行われた調査と最後に行われた調査では、内閣支持率には低下がみられました。朝日新聞は45.0%から41.0%に、NHKは49.0%から48.0%に、読売新聞・日本テレビは56.0%から52.0%になっています。

自民党、立憲民主党ともに支持率は上昇傾向

 政党支持率は、与党である自民党の支持率はやや上昇という結果になっています。

もっとも上昇したのは読売新聞・日本テレビの調査(10月の第1回目)で、前回9月4-5日の調査より7.0ポイント上昇の43.0%。次いで上昇したのは共同通信の調査で、前回9月4-5日の調査より4.8ポイント上昇の50.8%となっています。

反対に、もっとも低下したのは毎日新聞・社会調査研究センターの調査で、前回より3.0ポイント減少の34.0%となっています。 

なお、朝日新聞、NHK、読売新聞・日本テレビの、10月初めから終わりの調査の変化を参照すると、いずれも自民党の支持率は低下しています。朝日新聞では37.0%から34.0%に、NHKでは41.2%から38.6%に、読売新聞・日本テレビでは43.0%から40.0%となりました。

野党第一党である立憲民主党も、支持率はやや上昇という結果になっています。

もっとも上昇したのは、毎日新聞・社会調査研究センターの調査で、前回より3.0ポイント上昇の13.0%。それ以外の調査も基本的には上昇~変化なしとなっており、唯一前回より減少した共同通信の調査は、前回より0.7ポイント減少の11.6%になっています。

こちらも朝日新聞、NHK、読売新聞・日本テレビの10月中の調査の変化を参照すると、朝日新聞は5.0%から7.0%に、NHKでは6.1%から8.0%にそれぞれ上昇し、読売新聞・日本テレビは7.0%から6.0%に低下しました。

衆議院議員総選挙が終わり、まずは岸田氏が首相の座を、自民党が与党の地位をそれぞれ維持する形にはなりました。しかし、選挙が間近になった際には自民党の支持率低下も見られたりと、その置かれた状況が盤石かどうかはまだ判断できません。新しい体制のもとで、岸田内閣の打つ次の一手は何でしょうか。引き続き注目です。

<参考>
読売新聞・日本テレビ 世論調査(10月4~5日実施、回答数1124、10月14~15日実施、回答数1044)
共同通信 世論調査(10月4~5日実施、回答数1087)
毎日新聞・社会調査研究センター 世論調査(10月4~5日実施、回答数1035)
朝日新聞 世論調査(10月4~5日実施、回答数972、10月19~20日実施、回答数3107)
日本経済新聞・テレビ東京 世論調査(10月4~5日実施、回答数854)
NHK 世論調査(10月8~10日実施、回答数1921、10月22~24日、回答数3157)
JNN(TBSテレビ) 世論調査(10月9~10日実施、回答数1225)
時事通信 世論調査(10月8~11日実施、回答数1280)
ANN(テレビ朝日) 世論調査(10月16~17日実施、回答数1051)
選挙ドットコム 世論調査(10月16~17日実施、回答数1002)
(データ分析・執筆協力:若林良)

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