選挙人名簿流出問題 神奈川・真鶴町、コピー提供の参事を懲戒免職 町審査委「町長からの意向を忖度」

町職員綱紀審査委員会の審査結果と男性参事の処分を発表した町の会見=11日午後2時ごろ、真鶴町役場

 真鶴町の松本一彦前町長が選挙人名簿抄本を不正に複写して町長選で利用などしていた問題を巡り、町は11日、松本氏の依頼を受け町議選候補に名簿のコピーなどを提供した男性参事(57)を懲戒免職処分とした。男性参事は当時、総務防災課長兼選挙管理委員会書記長を務めており、町は「公正公平な選挙を執行する立場であり、厳罰な対処をせざるを得ない」と断じた。

 町は先月28日に男性参事の処分を検討する町職員綱紀審査委員会を設置し、4回にわたり審査を行った。同委の委員長を務める加藤哲三教育長はこの日の会見で検証結果を公表し「町民の信頼を大きく損なう重大な結果を招いた」と述べた。

 検証によると、男性参事は7月下旬ごろ、町役場内で、2019年の県議選・県知事選で使われた選挙人名簿抄本の複写を再コピーした上、住民基本台帳の中から転出者と死亡者、職権消除者の情報を不正に持ち出し、町議選立候補予定だった当時の現職町議3人に手渡した、としている。住基台帳の情報の持ち出しについて、加藤委員長は「関係が親密な町長からの意向を忖度(そんたく)して自ら行ったもの」と結論付けた。

 男性参事の退職金については、町が委託している県市町村職員退職手当組合によると「一般的には不支給か一部支給と考えられる。町からの報告を基に審査などを進める」としている。

 町は今回の問題の原因究明や再発防止に向け、弁護士1人と有識者2人の委員で構成する第三者委員会を近く設置する予定。

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