韓国研究官「日本産POフィルムは高くても農家に選ばれる」 議員「戦犯企業に勝てない現実に憤慨」

ビニールハウスに使うPOフィルムの韓国市場において、韓国産よりも日本産の利用が多く、品質でもキャッチアップが難しいとの指摘が同地の研究官から出ている。

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韓国の営農資材新聞は11日、『国産農業用POフィルム、国産化速度出そう』というタイトル記事において、韓国国立園芸得作科学研究院のソ・テチョル研究官へのインタビュー記事を掲載した。

ソ研究官は韓国のPOフィルム市場について「問題は農家現場で日本産POフィルムの価格が1.2~1.5倍も高価であるにもかかわらず、国産POフィルムに比べて使用比重が高いということだ」と伝えた。

韓国農業用フィルム業界における長期性POコーティングフィルムの国内流通量は2020年基準で韓国産が3285トン、日本産が3620トン、中国産が1150トンとなっており、「約60%が輸入産であり、このうち日本産の比重が高い」とソ研究官は指摘する。

ソ研究官によると、これまで韓国の農業当局は国内産POフィルムの品質を高めようと多くの努力をしたきたが「まだ不十分なのが実情だ」とし、透明性や保温性などは対等な水準を持つが、それ以外の面で凌駕できていないようだ。

日本と「因縁」の韓国産イチゴ「雪香」もビニールハウスで作られる

韓国農村振興庁では、2019年から国産POフィルムの弱点を改善するためにフィルム業界、研究機関、学界などが集まり、多くの議論を重ね、共同研究で開発された5層のコーティングPOフィルム試製品がまもなく発売されるとソ研究官は強調した。すでに輸入販売されている日本産との間で作物栽培効果を比較する計画であるという。

ソ研究官は「日本には高品質で先行され、中国にはコストパフォーマンスで追われていることを勘案すれば、一日早く品質と価格競争力のある国産POフィルムを開発することに拍車をかけなければならない。さらに、客観的で科学的な有滴性評価方法と基準を確立する必要がある」と説明している。

ソ研究官は「短い期間で日本産と対等になったり、より良いフィルムが開発されたりすれば良いが容易ではないだろう」としつつ、様々な用途や種類のフィルム研究開発が行える土台が用意されたことに希望を見出している。

一方で、韓国産のPOフィルムのシェアは着実に高まっている。2015年当時だけでも韓国産は516トンに過ぎず、2020年と比べると6分の1のレベルだった。韓国政府は当時、農家がビニールハウスを導入する際に補助金を支払っていたが、国産か外国産に関わらず補助金の対象にしていたとして批判が起こったこともある。

民主平和党のパク・ジュヒョン議員は2019年に農業情報新聞に対し、「ビニールハウス農家で国内産POフィルムを使用する割合が徐々に増加しているが、依然として日本産POフィルムが相当数使用されるのが現実」とし「国内産POフィルムが日本産より30%ほど安くても日本産POフィルム のシェアが減らないのは、補助金が日本産POフィルムの購入に何の制約もなく支援されているためだ」と指摘していた。

2020年10月にあった国政監査でも与党のオ・ギグ議員が、POフィルムの日本輸入割合が高いことを挙げ、PVフィルムに関しては100%日本産に依存しているとし、メーカーに「戦犯企業」が含まれていることから、「いまだに戦犯企業の製品を国産に置き換えることができない現実に憤慨している」とし、「園芸資材国産化のための覚醒の努力が必要だ」と指摘している。

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