旭琉会幹部ら3人逮捕 ネットバンク不正容疑、被害130人9300万円 沖縄県警など

 インターネットバンキングに不正アクセスし、全国17都府県の被害者約130人から現金総額約9300万円をだまし取った事件で、沖縄県警サイバー犯罪対策課など9県警合同捜査本部は11日までに、犯行の首謀者で、元指定暴力団住吉会系組員(49)ら3人を不正アクセス禁止法違反、電子計算機使用詐欺、窃盗の容疑で逮捕した。県警は「捜査に支障が出る」として3人の認否を明らかにしていない。住吉会系組員は府中刑務所で服役中だった。

 逮捕されたのは、住吉会系組員のほか、県外での指示役で東京都葛飾区の彫師(41)、県内組織トップの指定暴力団旭琉会二代目沖島一家幹部(53)の2容疑者。2容疑者は犯行組織の上層部の地位にいたという。県警はこれまでに、犯行の指示役や銀行口座から金を引き出す「出し子」、口座の準備役など計29人を摘発した。県警は犯行で得られた被害金の流れを追うとともに、暴力団組織の資金源となっていた可能性を視野に捜査を進めている。

 県警によると、住吉会系組員の男をトップとする犯行組織は2019年9月末から20年2月末の約5カ月にわたって、全国17都府県の被害者約130人から現金総額約9300万円をだまし取り、うち約8千万円が県内の現金自動預払機(ATM)などで引き出されていたという。被害者のスマートフォンなどに在京メガバンクを装ったショートメッセージサービス(SMS)を送り、銀行口座番号やパスワードを盗み取る「スミッシング」と呼ばれる手法が犯行に用いられた。在京メガバンクから不正に詐取された現金は県内銀行の口座に送金され、引き出されていたという。

 彫師、沖島一家幹部の両容疑者の逮捕容疑は19年9月28日から10月1日にかけて、インターネットバンキングに不正アクセスし、約200万円をだまし取った疑い。彫師の逮捕容疑は19年11月12、13の両日、インターネットバンキングに不正アクセスし、約150万円をだまし取った疑い。

 県警は11日、北中城村の旭琉会本部事務所と那覇市内の同会事務所を家宅捜索し、関係資料を押収した。

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