「岡本不在だけではない」 崖っぷち巨人に足りない“一工夫”を専門家指摘

巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

元ヤクルト飯田哲也氏「相手投手攻略のためにもう一工夫ほしい気がします」

■ヤクルト 5ー0 巨人(CSファイナル・11日・神宮)

「JERAクライマックスシリーズ セ」ファイナルステージは、ヤクルトが第1、2戦で巨人に連続零封勝ち。アドバンテージを含めて3勝0敗とし、日本シリーズ進出に王手をかけた。あっという間に崖っぷちへ追い込まれた巨人が、これからやれることは何か。元ヤクルト外野手で現役時代にゴールデングラブ賞7度を誇った野球評論家・飯田哲也氏が分析した。

言うまでもなく、レギュラーシーズン全143試合で4番を張った岡本和真内野手が、CS開幕直前に左脇腹を痛め欠場している影響は大きい。10日の第1戦では奥川に6安打完封され、11日の第2戦では左腕の高橋に6回2安打無失点と抑え込まれた。飯田氏は「岡本の不在自体も痛いけれど、他の選手も打順が変わったことによって、普段と違う役割に戸惑い、ペースをつかめないでいるように見えます」と指摘する。岡本和の代役の4番は丸佳浩外野手が務め、打撃好調のゼラス・ウィーラー内野手が5番に座っているが、いまひとつ繋がらない。

「相手投手攻略のために、もう一工夫ほしい気もします」と飯田氏。例えば、第2戦の相手先発・高橋は立ち上がりの制球が定まらず、変化球でなかなかストライクが取れない状態だった。それでも巨人打線は、高橋が頼らざるをえなかったストレートをあっさり見逃し、もしくはミスショットを繰り返してしまった。

短期決戦の鉄則は「相手の主軸打者に打たせるな」

1回1死一、二塁の先制機では、丸がカウント3-2から真ん中低めの151キロ速球を見逃し三振。「低めの絶妙のコースだったとはいえ、狙うべきストレートを見逃して三振したのはいただけません。一方、あのカウントでは一、二塁の走者にスタートを切らせる選択肢もあったと思います。走者が走っていれば、当然、丸はゾーンを広げて打ちにいったでしょうから」と見た。さらに「ファウルを打って相手投手に球数を稼がせるような粘りも、もっと見たいところです」と付け加える。

いずれにせよ、ファイナルステージ突入後2試合で1点も取れなかった打線が奮起しないことには、話にならない。飯田氏は「短期決戦の鉄則の1つは、“相手の主軸打者に打たせるな”。打線全体に勢いを与えてしまうからです。逆に言えば、巨人もここぞの場面で坂本や丸に1本が出れば、雰囲気がガラリと変わる可能性はあるということです」と語った。

昨季まで2年連続リーグ優勝を果たし、残る課題は日本シリーズでソフトバンクにリベンジすることだけだったはずの巨人。ヤクルトに対し無抵抗のまま土俵を割るようでは寂しすぎる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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