【パCS】伊勢孝夫氏が診断「オリックスの投手をセの打者が打ち崩すのは相当に難しい」

力投する田嶋大樹(東スポWeb)

パ・リーグのCSファイナルステージ第2戦(10日、京セラ)は、レギュラーシーズン1位のオリックスが同2位のロッテに2―0で快勝。アドバンテージを含め3勝0敗として日本シリーズ進出に王手をかけた。このまま一気に決めかねない勢いに、ネット裏の評論家からは「今年も日本一はパ・リーグだ」との声も飛び出した。

【伊勢孝夫・新IDアナライザー】初戦に続きオリックスの投手陣がロッテ打線に1点も与えず、圧倒した試合だった。前日のエース・山本は言うまでもないが、田嶋も左腕から150キロ近い球威のあるボールを投げる。相性の良さもあったのだろうが、初の大舞台にも堂々の投球で見ていて気持ちが良かった。

この2人に加えて第4戦に先発予定の宮城もいる。終盤に調子を落としていたとはいえ、この投手も150キロ近い直球を投げて緩急を使う。この3人以外の先発投手は決して盤石とは言えないものの、このままオリックスがCSを勝ち抜けば、改めて今年も日本シリーズはパ・リーグが圧倒するのではないかと感じてしまった。彼らが大一番で調子を崩せば話は別だが、田嶋の今回の投球を見ても、セの打者が打ち崩すのは相当に難しいだろう。

一方のロッテはもったいない配球が気になった。シーズンの対戦成績は10勝10敗5分けと互角。バッテリーの課題は打率4割3分、13本塁打とカモにされた4番の杉本をどう抑えるかだったはずだ。それが唯一の失点となる決勝2ランを含む3安打を許した。特に2ランのシーンは2番手・東妻の初球のスライダーが甘く入り仕留められた。

先発の美馬も第1打席でスライダーをセンター前に打たれており、第2打席ではファーストストライクのカーブを待っていたかのようにレフト前に運ばれていた。その流れでの第3打席だった。初球の入りとして捕手の加藤に「外角のボール球でいいぞ」というそぶりもなかった。

第1戦でも杉本と東妻は対戦している。スライダーから入って見逃しでストライクを取り、最後は外角のスライダーを続けて空振り三振を奪っている。同じような攻めをイメージしたのだろうか。なぜなのかと疑問符をつけざるを得ない。結果的にこの1球が勝敗を分けることになった。

個人的には短期決戦での中嶋監督の采配に注目していた。しかし、冒頭に述べた通り、オリックスの投手の強烈さが目立った試合だった。この展開ではなかなか見せ場もない。第3戦以降でどのように動くのか楽しみにしたい。

(本紙評論家)

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