巨人復権へ原×元木×阿部〝令和のトロイカ〟は機能するか 小笠原氏、引退の亀井が新入閣へ

原監督(中央)と元木ヘッドコーチ(左)、阿部作戦コーチ。来季はこのトロイカ体制で臨む(東スポWeb)

原巨人の2021年が終焉を迎えた。12日のヤクルトとのCSファイナルステージ第3戦(神宮)を2―2で引き分け、規定により敗退が決まった。レギュラーシーズンでは11ゲーム差をつけられ、借金1でリーグ3位に沈んだチームの再建は急務。二軍打撃コーチに巨人OBでもある小笠原道大氏(48)を招へいする一方、原辰徳監督(63)を中心に元木大介ヘッドコーチ(49)、阿部慎之助作戦コーチ(42)による〝トロイカ体制〟の成否がV奪回へのカギとなる。

王者の壁は厚かった。ファーストステージこそ2連勝で突破したが、ヤクルトには1勝もできずに終戦。原監督は「ベストを尽くした中でこういう結果になった。1年間いろんなことがありながら選手たちもスタッフもよく頑張ったと。『お疲れさま』というところですね」とねぎらいの言葉を送った。

奇跡は起こせず、来季はV奪回が至上命令となる。一軍首脳陣では宮本投手チーフコーチがフロント入りし、桑田投手チーフコーチ補佐が投手部門の筆頭格に昇格する見込み。この日の終戦で、現役生活にピリオドを打った亀井も外野守備部門を担当し、チームを支えていく。

また、今季は昨季以上には新たな若手が台頭せず、底上げも大きな課題として残された。そこで白羽の矢を立てられたのが2019年まで中日二軍監督、今季まで日本ハムの一軍ヘッド兼打撃コーチを務めた小笠原氏だ。V奪回へ打撃強化は不可欠で、実現すれば2013年以来の巨人復帰となる。

新たな〝血〟も注入される中、チームの根幹をなすのは山口オーナーが「3人を中心にチームを立て直してほしい」とした原監督、元木ヘッド、阿部作戦コーチだ。1981年から3年間、チームを動かした藤田監督、王助監督、牧野ヘッドコーチの「トロイカ体制」をほうふつとさせる布陣。10月5日の配置転換で阿部コーチが二軍監督から一軍入りした体制を来季も継続する形になるが、チームはそこからドロ沼の10連敗も喫した。

低迷したのは打線が大スランプに陥り、投打でかみ合わなかったことも大きな要因だが、ライバル球団からは「選手たちはベンチで首脳陣の動きを見ているもの。監督、ヘッド、作戦コーチに〝大物〟がズラリと並んで誰についていけばいいのか戸惑った面もあったのでは?」との見解も示されていた。

さらに「原監督の下で、阿部コーチを将来的な監督候補として帝王学を学ばせる狙いもあるはず。最終決断するのは原監督としても誰が作戦を立てるか、誰がどの部門を担当するかなど、個々の役割を明確にしないとお互いにやりづらいかもしれない」との声もあった。

もちろん、その頂点に立ち、指揮系統のすべてを円滑に進めるには原監督の手腕が問われるところとなる。セ3位から下克上は果たせなかったが、2年ぶりのリーグ制覇、10年ぶりの日本一奪回へ地固めを進めていく。

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