巨人敗退で伊原春樹氏が原監督を愛の糾弾!「潔く自ら責任を取って辞めなければいけない」

ヤクルトナインを横目に引き上げる原監督(東スポWeb)

原巨人の2021年が終焉を迎えた。12日のヤクルトとのCSファイナルステージ第3戦(神宮)を2―2で引き分け、規定により敗退が決まった。元巨人ヘッドコーチで本紙専属評論家の伊原春樹氏は「原監督の責任は重大」とV逸の指揮官を厳しく糾弾。来季組閣と補強を巡る球団フロントの動きに対しても強い疑問を呈した。

【伊原春樹 新・鬼の手帳】巨人は4番・岡本和を欠く中、最後まで全員必死になって戦った。そこは素直に称えたい。しかし借金1でリーグ3位に沈み、CSファイナルSでヤクルトに1勝もできずに敗退した事実は重く受け止めなければならない。当然ながら原監督の責任は重大である。

本来であれば、原監督は潔く自ら責任を取って辞めなければいけない。Aクラスとはいえ惨たんたる成績でリーグVを逸し、下克上での日本一達成も逃したのだから指揮官として身を引くべきであった。ところが来季も引き続きチームの指揮を執り、聞くところによればコーチ陣もほとんど入れ替えないという。

せめてヘッド格には、全権監督に対してもモノを言える〝ブレーキ役〟が必要だと思うが、その考えは残念ながらまったくないようだ。確かに〝イエスマン〟たちで脇を固めておいたほうがラクに決まっている。しかしチームがうまく回っている時はそれでいいかもしれないが、こうした組閣は一度歯車が狂うと途端に修正が利かなくなる。レギュラーシーズン終盤で喫した10連敗、このCSファイナルSで1勝もできずに終戦となったところが、いい例だ。

今の巨人には原監督にモノを言える人間が誰もいない。それはコーチ陣だけでなくフロントにも同じことが言える。正力亨さんや渡辺恒雄さんがオーナーとしてやられている時代なら、昨年の日本シリーズでソフトバンクに2年連続で1勝もできずに敗れた時点で「どうぞお引き取りください」となっていただろう。

巨人というチームはリーグ優勝のみならず、日本一にならなければ意味がない。実際、その信念を貫き続けていたV9監督の川上哲治さんは日本一10連覇を逃したシーズン終了後、潔く退任されている。何かとメディアは、監督通算勝利数で抜いたからといって原監督を〝川上超え〟などと持ち上げようとするが、私から言わせれば笑止千万だ。

今の山口オーナーは、今季の総括として「今年に関しては去年から戦力の上積みがまったくできていなかった」と振り返り、原監督の手腕を問わずに補強できなかったことをV逸の最大要因としたが、これにも大きな矛盾がある。それならば編成面も担う全権監督こそが、責任を負わなければならないはずだ。

リーグ3連覇を逃し、ヤクルトに叩きのめされて下克上・日本一も逃した巨人は、今オフのストーブリーグでも、お得意の巨大補強で戦力増強を図るのだろう。それはそれで手っ取り早いのかもしれないが、本当にチームの未来を考える上で「最良の道」と言い切れるのか。

決まったことを四の五の言うのはここらあたりでやめておくが、来季も続投する原監督には、私をギャフンと言わせるような采配と組織作りをしてほしい。巨人を愛するファンたちも、同じ思いをしているのではないか。

(本紙専属評論家)

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