5年目で存在を示したソフトバンク・田中正義 一軍戦18試合登板の「意味」

5年目の今季は一軍で18試合に登板した(東スポWeb)

「未完の大器」と呼ばれる男の5年目のシーズンが終わった。ソフトバンク・田中正義投手(27)は今季プロ最多18試合に登板して、防御率2・16をマーク。2016年ドラフト5球団競合の右腕はようやく一軍で存在を示した。

足踏みしていた頃の脆弱な姿が消えた今季、自身の変貌をどう捉えているのか。「強くなっていることは間違いないと思います」。心技体で成長を実感しつつ、一軍の舞台で18試合に投げた意味をこう受け止めている。「中継ぎで50試合なり、先発で年間通して回ることがどういう世界なのか。とてつもないところなんだなと思いました」。プロで地位を築いている選手のすごみ、自分がそこに行き着くまでの「距離」を知ったことが最大の収穫だったという。「今のままなら無理。ただ、そこを目指して一生懸命練習できることに今は幸せを感じられています」。

強くなった要因の一つには、こんな「考え方」がある。「ダイヤモンドなどの鉱石が(研磨される過程で)圧力をかければかけるほどキレイに輝くと聞いたことがあって、しんどい時はそういうふうに捉えるようにしています」。場数を踏んだ分、苦い失敗もあった。威圧感や飲み込まれる空気感も味わった。初めて経験した、揉まれるシーズン。打たれても次のマウンドに前向きに上がれるようになった理由だった。

来季逆襲を期す常勝軍団で、若い戦力の底上げは不可欠。6年目の「大器」もキーマンの一人だ。

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