韓国紙「キオクシアとWDの日米半導体合併、韓国SKが拒否か」「自社の中国審査影響で」

合併によって、NAND型フラッシュ半導体市場で世界シェア1位サムスンに並ぶとの見方が浮上していた日本のキオクシアと米ウエスタンデジタル(WD)だが、中国政府と韓国SKハイニクスの反対で、合併が頓挫する可能性が出ている。

韓国紙「半導体超純水を国産化し日本の独占を防ごう」「しかし信頼不足で現場では避けられてる」

韓国経済新聞は13日、日経報道を引用し、キオクシアWDの合併交渉が「デッドロックに陥った」とし、「中国政府の牽制とキオクシアの投資会社であるSKハイニックスによる反対機運に足を掴まれた」との分析を示した。

WDは今春からキオクシア買収のための交渉を進めていた。調査機関オムディアの統計によると、キオクシアとWDのM&Aが実現するとシェアは合計33.4%となり、1位のサムスン電子(33.5%)と格差が消える。外信などは8月末頃からキオクシアとWDの合併交渉について報じており、買収金額は200億ドル前後と予想されていた。

一方で、韓国SKハイニクスもキオクシアの株を保有している。米投資会社米ベインキャピタルを通じて訳15%分を持っているとされる。SKハイニクス自身も米インテルのNAND型フラッシュ事業の買収交渉を昨年確定させた状態であり、合併が完了すればシェアは19%を超える。

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このように、NAND型市場は、①サムスン②WD・キオクシア連合③SK・インテル連合の三つ巴の構図となっており、②WD・キオクシアにSKが一定の発言権を持つという状態だ。ただし、②も③も、合併は完了していない。完了するには利害を持つ各国独禁当局に許可を必要とする。

韓国経済新聞は、「すでに11月中旬に入ったが、交渉は依然として困難を経験している」ことを挙げ、「キオクシアとWDが合併後、本社を米国と日本のうちどこに置くのか合意できなかった」ことを伝えた。

同紙はまた、中国当局の合併審査を通過する可能性が低いとの見通しがあることも挙げ、メモリ半導体の需給率を上げたい中国が「日米半導体企業の統合を承認するわけがない」との見方も伝えている。

中国はファーウェイやSIMCなどハイテク・半導体企業が米国から制裁を受けていることから、その報復として、これを承認しない可能性も高いと考えられる。去る3月には世界最大の半導体装備メーカーである米国アプライドマテリアルズの日立国際電気の買収に承認を与えなかった。

韓国経済新聞は「SKグループの反対もキオクシアとWDの合併を遅らせる要因と指摘されている」とし、「SKハイニックスは昨年10月、米国インテルのNANDフラッシュ事業部の買収で合意した。しかし、1年を過ぎて、中国でのみ合併承認を受けられていない」ことや、「SKは中国でさらに別の半導体企業合併審査が進めば、インテルNAND事業部の審査に影響を与える可能性を懸念して難色を示すことが分かった」と伝えている。

つまり、SK側からすれば、中国の許可が下りるかどうか微妙な時期だけに、中国の不許可可能性がより高いとみられる米WDと日キオクシアの買収話が同時に俎上に乗れば、自身の買収案件もまとめて却下されることを恐れているとの推測が成り立つ。SKハイニクスを含むSKグループは中国に半導体工場を持つなど多くの投資を行っており、中国とのパイプは太く、無下にはしないとの期待もあると思われる。

このように、NAND型フラッシュメモリを巡る合従連衡は複雑な様相を見せている一方、結果的にシェアトップのサムスン電子には好都合な状況となっている。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「グローバルナンバーワン企業であるサムスン電子が圧倒的超格差技術によって名実ともに他の追従を認めない世界最強の反動滝行として今後も頑張ってくれ。全世界を制覇しよう!」

「サムスン電子が無敵の半導体企業と考えるのは幻想だ。競争が激化してきており、国家の支援してやらないと」

「中国に技術を売った奴らは捉えて監獄に入れよう」

「半導体は競争に負けたら消える。しかし政府はサムスンを公企業にしようとしているから狂っている」

「ハイニックス頑張れ、日本を困らせてやれ」

「キオクシアには気の毒だな」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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