<南風>終活とグリーフケア

 私事で恐縮だが、冠婚葬祭文化振興財団主催の終活コーディネーターとグリーフケア士の資格試験に合格した。終活とは、自分のいざというときに備えて、元気なうちに自分自身の希望や考えをまとめて整理し準備しておくことだ。

 医療、介護、葬儀、墓、相続、遺品整理などは業界が異なるため、それぞれの分野で専門家がいる。誰に相談すればよいのか分からないお客さまに寄り添い、困りごとの内容に応じた相談先へ橋渡しをするのが終活コーディネーターである。

 また、大切な人の死によって、体の一部をもぎ取られたような衝撃を受けたり、心に大きな空白ができてしまったように感じ途方に暮れたりといった経験をする人は多い。

 こうした喪失による重い悲しみをグリーフ・悲嘆と呼ぶ。死別の悲嘆にある人々に寄り添いケアするのがグリーフケア士である。

 死別した対象への愛着を切り離すよりも、故人との絆を継続する方が悲嘆の解決に有効とされ、日本の祖先崇拝や伝統的な通過儀礼が注目されている。

 葬儀のみならず、初七日から四十九日までの週忌法要や年忌法要をはじめ節目節目の儀式・供養を通して遺族は絆を深めていく。そして故人の死を受け入れ、故人のいない新しい環境に適応し、明日に向かって新しい一歩を踏み出すことができる。

 大切な人を亡くした方に対しては、過程も含めて「生きる力」のサポートをしていくことが有効だ。そのためサンレーでは、厚生労働省認定の技能審査1級葬祭ディレクターを県内最多の31人が取得しており、さらに終活コーディネーター・グリーフケア士もともに20人が取得した。

 これからも儀式を通して地域の皆さまをサポートし、社会に必要とされる企業を目指していきたい。

(佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)

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