「ビッグボス」新庄監督 ミスター長嶋とプレーからファッションまで激似だった!

現役時代も個性的だった新庄監督(東スポWeb)

【赤坂英一 赤ペン!!】ビッグボス・新庄剛志監督が何かやったり言ったりするたび、巨人監督時代の長嶋茂雄さんを思い出す。

例えば、新庄監督は二言目には「選手はいつでも誰かに見られていると思え」と強調している。「いいプレーができるのはファンのおかげなんだよ。外野(守備)で捕れそうにない打球が捕れるのもファンの応援があるから。ファンの声援が、(打球へ)もう一歩踏み込ませてくれるのよ」

長嶋さんも第2次監督時代(1993~2001年)、何度も口を酸っぱくして説いていた。

「選手は130~140試合出られるが、ファンはその日しか見に来られない人もいる。だから、たとえ大差をつけられた試合でも、あのプレーやヒットが見られてよかったと、そう思われるように全力でやるんだぞ」

常にファンの視線を意識することで、ビッグボスと長嶋さんは一致している。また、意外に思われるかもしれないが、当時の長嶋さんも今の新庄監督と同様、移動時のファッションにはこだわりを持っていた。

「スーツやネクタイはもちろん、カフスボタンやネクタイピンと、アクセサリーまで必ず自分で選んでいましたね。お気に入りのデザイナーが新作を発表するたび、なじみにしていた宝石店へ行って、じっくりと吟味してから購入する。テントウムシのピンズを『いいでしょう?』と自慢したりしてました」

とは、当時長嶋さんによく取材していた女性キャスターの証言だ。

次に、太っている選手に厳しいのも共通点のひとつ。新庄監督は秋季キャンプで清宮の脇腹をつまむと「ちょっとデブじゃね? ちょっと痩せない?」とやんわり助言。これで思い出したのが、第2次監督時代、抑えの石毛が打たれて負けた直後、長嶋さんがブチ切れた発言である。

「石毛は太り過ぎですよ! なに、あの体!」

第1次政権時代に抑えを務めた新浦も、太ったときは長嶋監督が激怒。新浦が健康のためと自分なりの理由を話しても「元通りに痩せろ!」と長嶋監督に命じられたら従うしかなかった。

その長嶋監督は13年ぶりに復帰した93年の宮崎キャンプ初日、派手に球場に登場した。左翼ポール下の扉から白い車でグラウンドに入り、さっそうと姿を現したのだ。選手はびっくり、ファンは万雷の拍手。今思うと、新庄監督のセンスを先取りしていたかのようだ。

さて、来年2月1日のビッグボスはどんなふうに登場するのだろうか。

★あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。コメントに「参考になった」をポチッとお願いします。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。

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